折り畳み型スマートフォンに関する特許の出願動向を調査した。折り畳み部のディスプレーとして採用されるのはフレキシブル有機ELである(発表は2008年)。今回調査した2010年以降の特許出願数では、先行して開発を進めていたとされる韓国LG Electronicsと韓国Samsung Electronicsが出願件数で上位となった(図A-1(a))。続くのは中国OPPO Mobile、中国Vivo、中国Nubia Technology(中国ZTEの子会社)、中国BOE Technology Groupである。
特許の標準的な分類であるCPC(共通特許分類)単位でファミリー数を集計し、要素技術の傾向を分析した(図A-1(b))。折り畳み型スマホの特許出願では、ディスプレーの構造に関する分類として「折りたたみ可能なディスプレイ(G06F1/1616)」「フレキシブルディスプレイ(G06F1/1616)」、また電話機の特徴として「フレキシブル表示パネルを含む電話機(H04M1/0268)」のいずれかが付与される例が多い。
以上の分類は、確かに折り畳み型スマホの特徴をよく表してはいる。しかし、要素技術の特徴は、上記以外で多く付与される分類に表れていると考えられる。
例えばディスプレーの構造では、具体的な折り畳み方に関連する「1軸ヒンジ」「2軸ヒンジ」、あるいは衝撃や水没、折り曲げなどからの保護技術である。入出力関連技術としては「タッチスクリーン・手書き入力」や「スクリーン上を区分した表示」、「開閉・中間位置の検出」などの要素技術が多く出願されていることが、付与分類データから読み取れる。
3つ折りや巻き取り型の出願も
折り畳み型製品の発表で注目を集めた中国Huawei Technologiesについては、同社向けにディスプレーを提供するとみられる京東方科技集団(BOE)について特許出願内容や特徴を確認した。同社の特許出願内容からは、フレキシブルディスプレーを片側で巻き取る方式と2つ折り型の屈曲部に弾性変形する部材を設ける方式の2種類を検討していることが推察される(図A-2)。