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プラットフォームビジネスを展開

 従来、音声合成技術の主なビジネスモデルは、多目的に使える汎用合成エンジンの販売と、特定の用途に向けたカスタム合成エンジンの受注制作だった。その枠を超えて、多様な合成エンジンを流通させるプラットフォームビジネスを目指しているのが、東芝デジタルソリューションズの「コエステーション(coestation)」である。

 コエステーションは、2つの事業形態から成っている(図6)。1つは、一般消費者向けにユーザー自身の音声の合成エンジンを無償で作成・提供し、その代わりに同社や顧客企業も利用可能にするというもの。もう1つは、著名な芸能人やアナウンサー、キャラクターなどの合成エンジンをあらかじめ作成しておき、それを利用したい顧客企業と音声の持ち主を仲介するというものである。2019年6月時点で、前者の合成エンジンは4万以上、後者は女優の川島海荷氏や、特徴的な高音を持つ芸人の「クロちゃん」(安田大サーカス)など30以上に達している。

図6 音声のプラットフォームビジネスを展開
図6 音声のプラットフォームビジネスを展開
東芝デジタルソリューションズの「コエステーション」では、一般ユーザーおよび著名人の収録音声と合成エンジンをあらかじめデータベース化しておき、その利用権を顧客企業に提供するプラットフォームビジネスを展開する。(東芝デジタルソリューションズの資料を基に本誌が作成)
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 一般ユーザーの音声は、専用のiOSアプリ(無償)を介して集めている。アプリで示した例文をユーザーが読み上げると、その音声をクラウドサーバーで学習し、合成エンジンを作成する。今のところ一般ユーザーが利用できるのは、自身の声から作成した合成エンジンで任意の文章を読み上げる機能だけだが、将来的には他のアプリと連携したり、ユーザー同士の合意があることを前提に他ユーザーの合成エンジンも利用したりできるようにする予定だ。

 著名人の音声についても、今後さらに拡充させる。従来、著名人の音声を合成エンジンにするのは、依頼を受けてから都度対応することが同社に限らず多かった。コエステーションのようにあらかじめ作成しておきプラットフォームビジネスとして展開するのは「世界的にも見当たらない」(同社RECAIUS事業推進部コエステーション事業推進プロジェクトリーダーの金子祐紀氏)。現在は日本限定のサービスだが、世界展開も視野に入れている。