技術で未来をどこまで語れるか─節目の2020年を迎えるに当たり、日経エレクトロニクスは今年を展望し、2030年を先見する特集を企画した。ディスプレー、5G/beyond 5G/6G、HDD、実装、ロボット、VR/AR、電池、半導体、AIの9分野(キーワード)における未来技術動向を専門記者が解説する。

技術で未来をどこまで語れるか─節目の2020年を迎えるに当たり、日経エレクトロニクスは今年を展望し、2030年を先見する特集を企画した。ディスプレー、5G/beyond 5G/6G、HDD、実装、ロボット、VR/AR、電池、半導体、AIの9分野(キーワード)における未来技術動向を専門記者が解説する。
ディスプレー
20年近くディスプレーの主役であり続けてきた液晶が、ついにその座を明け渡す。ハイエンド製品のディスプレーのほぼすべてに有機ELが採用されるようになり、企業の製品戦略や投資戦略は有機EL中心にハッキリと変わる。その次の世代交代は、液晶でも有機ELでもない、パネルですらない新技術の台頭だ。マイクロLE…
5G/beyond 5G/6G
2020年の春、日本では5Gの本格商用サービスが相次ぎ始まる。そしてR&Dの現場では、10年後の2030年に向けた「5Gのその先(beyond 5Gあるいは6G)」の研究開発が始動している。目指すスペックは5Gの1桁上となる「100Gビット/秒」「1000万台/km2」「遅延ほぼゼロ」。ミリ波を超…
HDD
HDDの容量が2020年代後半に50TB(テラバイト)を超えそうだ。記録密度を現状の4〜5倍に高める可能性を秘める新技術の実用化が始まるためである。2020年中にも容量20Tバイトの3.5インチ型の量産に適用され、その後も年率15〜20%のペースで容量を拡大し続ける。2020年代のHDDは、容量当…
実装
これからの高密度実装技術は、2020年から2023年にかけて続々と登場するとみられる5G(第5世代移動通信システム)スマホが牽引する。さらなる小型化が迫られる積層セラミックコンデンサー(MLCC)は2020年に「0201部品」の採用が始まるだろう。メイン基板の「2階建て」が一般化し、半導体実装やプ…
ロボット
2020年以降、製造業以外で用いられる「サービスロボット」の普及が加速しそうだ。2025年には世界で4.5兆円の市場になると予測されている。日本では労働人口の減少による人手不足を原動力に普及が進みそうだ。自動化の波は人目につかない裏方から始まり、徐々に公共の場、そして2050年には家庭にまで及ぶだ…
VR/AR
VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)といった技術は、日常に“便利"をもたらす技術として浸透していく。業務や生活を一変させる可能性を秘め、普及するにつれて経済効果は大きくなっていく。VR/ARの普及には、便利をもたらすコンテンツが欠かせない。加速を続ける…
電池
現行のLiイオン2次電池(LIB)の開発者にノーベル化学賞が送られた2019年の翌年に、LIBを超えるリチウム硫黄(Li-S)2次電池が実用化される。Liイオンを使わない新型電池も実用化に近づいてきた。多くが現行LIBの2~5倍のエネルギー密度を備え、それでいて量産時の価格は大幅に安くなる。電池の…
半導体
半導体の微細化、いわゆるMoore(ムーア)の法則の終焉(しゅうえん)が叫ばれて久しい。もう終わった、まだ続く、という議論が繰り返されてきた。ある分野では、主にコスト面から微細化の魅力はなくなっている。別の分野では、主に性能面から微細化の恩恵を今でも受けている。実際に起こっているのは、微細化ピッチ…
AI
人工知能(AI)の研究開発において、2020年代はCNNやトランスフォーマーといった“要素技術”を統合し、より複雑な“世界”を自ら学習していくAIシステムが登場する時代になりそうだ。これまで競合していた記号推論との連携や融合も始まり、学習するだけでなく人間に分かる言葉で自ら考え、説明するAIの登場…