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20年近くディスプレーの主役であり続けてきた液晶が、ついにその座を明け渡す。ハイエンド製品のディスプレーのほぼすべてに有機ELが採用されるようになり、企業の製品戦略や投資戦略は有機EL中心にハッキリと変わる。その次の世代交代は、液晶でも有機ELでもない、パネルですらない新技術の台頭だ。マイクロLEDが脱テレビへ名乗りを上げた。

 2020年から2030年にかけて、ディスプレーで2つの世代交代が起こる。2020年に起こるのは、液晶(LCD)から有機EL(OLED)への主役交代だ。ハイエンド製品のディスプレーは有機ELとなり、企業は有機ELをディスプレー戦略の中心とする。その次の世代交代は、液晶でも有機ELでもない、パネルですらない新技術の台頭だ。ディスプレー開発の原動力もテレビではなくなる。この世代交代で主役を張るのはマイクロLEDだ。点光源技術のマイクロLEDが、面光源のパネルとは違う、全く新しいディスプレーの世界を生み出す(図1)。

図1 ディスプレー技術のトレンド
図1 ディスプレー技術のトレンド
日経クロステックが作成。(図中のiPhoneの写真はApple、Galaxy Foldの写真はSamsung Electronics、②の枠内の左上、右上、右下の図はJDIのデータ。その他の写真は日経クロステックが撮影)
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 20年近くディスプレーの主役であり続けてきた液晶が、ついにその座を明け渡す。ハイエンド製品のディスプレーのほぼすべてに有機ELが採用されるようになり、企業の製品戦略や投資戦略は有機EL中心にハッキリと変わる。

2020年、主役は液晶から有機ELへ

 液晶から有機ELへの主役交代を決定づけるのが、有機EL搭載のタブレット端末やノートパソコンの登場だ。いずれも2020年に発売される可能性が高い。スマートフォン市場では既に液晶から有機ELに主役が交代した。テレビ市場でもハイエンド品で有機ELの採用が相次ぎ、世代交代の波が広がっている。

 この波が、タブレット端末やノートパソコンの市場にも押し寄せる。小型から中型、大型までのあらゆる画面サイズのハイエンド製品を、有機ELがカバーするようになる。もし米Apple(アップル)が同社のタブレット端末「iPad」やノートパソコン「MacBook Pro」に有機ELを採用したら、スマホと同様に、雪崩を打って液晶から有機ELへの世代交代が進むことになるだろう。