電子部品同士を配線し、回路を形成するプリント基板。今回は、プリント基板の分類の1つ、硬い板状の「リジッド基板」に着目し、その内部構造と製造法を説明します。両面基板のように表面から観察して構造が分かるものもありますが、最新の基板は、実装部品点数の増加と回路の複雑化に伴い、外見からは内部構造を伺い知ることはできません。
本連載第2回で述べたように、リジッド基板は基板上に実装される半導体製品の小型化・実装の高密度化と製品の多機能化に伴う実装部品数の増加に従い、両面基板から、多層貫通基板、ビルドアップ基板、エニーレイヤー(Any Layer)基板へと進化してきました。構造と製造方法を順番に見ていきます。
【両面基板】
エッチング、ドリル、銅めっきで実現
リジッド基板の主材料は、銅張積層板です。銅張積層板は、FR-4と呼ばれるガラスクロス入りのエポキシ樹脂に、銅箔を両面に張り合わせた板状の材料です(図1)。
この銅張積層板に回路形成することで両面基板は出来上がりますが、表面の回路形成を行っただけでは、L1面とL2面の層間の導通は取れません注1)。
基板の製造工程で重要なことは、層間をつなぐためのドリルによる穴加工と、層間の電気接続を確保するための、銅めっき工程です。このドリル加工と銅めっきによる層間接続のための貫通穴をスルーホールと呼びます(図2)。
両面基板の製造工程は、まず、ドリルによる穴加工、次に銅めっきによる層間の導通の確保、最後に回路形成を行います。基本的には、この3ステップで電気信号を送る回路パターンが完成します(図3)。
しかし、このままの状態では、回路パターンが剥き出しのため、絶縁性を持つソルダーレジストインクを塗布し表面をカバーします。さらに、露出した銅パッド表面の酸化防止のためにプリフラックス処理をして仕上げます注2)。