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電子部品同士を配線し、回路を形成するプリント基板。前回までの講座では、プリント基板の種類や、構造、製造工程について紹介してきました。今回は、工場での製造から離れて、製造の前工程であるプリント基板の設計について紹介します。プリント基板製造に近い基板設計を中心にご紹介しますが、基板設計の前工程である電気回路設計についても触れていきます。

 プリント基板の設計は、電気回路設計と基板設計とに分業されています。

 電気回路設計は回路図をつくる工程で、基板設計は基板製造に必要な基板の設計図をつくる工程です。この2つの仕事は、混同されることがありますが、まったく異なります。設計者に求められる知識もスキルも異なるので、1人が両方を担当するケースはほとんどありません。

 今回は、プリント基板の設計に加えて、品質を向上させたり、基板の製造コストを下げたりする基板設計のポイントについても紹介します。今回、回路設計やプリント基板設計に携わったことのない方に向けて書いていますので、専門家の方にとっては、簡単過ぎると感じられるかもしれません。

【電気回路設計】
まずは機能設定と部品選定

 プリント基板を設計するに当たって、まず必要となるのが、その電子機器の機能と寸法です。

 例えば、超音波式の卓上加湿器を考えてみます。部屋の湿度を上げるために、水を水蒸気にして拡散する機能は必須です。商品によっては、時間でスイッチを切るタイマー機能や、水蒸気の強弱を調整する機能も必要かもしれません。これらの機能を実現するために、どの部品を選択するか、選択した部品に対してどのように電流や電圧をコントロールしていくかを決めていきます。これが回路図の原型となっていきます。

 また、卓上に置いて使用する製品のため、大きすぎるのは困ります。手のひらサイズの15cm×15cm×20cm程度に収めたいと考えた場合、このサイズにするための電気エリアの寸法は限られてきます。この要求に合致するように機能部品の種類やサイズを選定していくことが求められます。部品の選定には、使用環境や耐用年数、販売価格なども考慮します。

 回路図には、回路が適切に動作するために必要な情報や、ピン番号、ピンの名称、部品の性能値などの情報が記載されています(図1)。回路図とセットになるのが、端子間の接続情報を記載したネットリストと呼ばれるデータと、部品情報を記載した部品リストです(図2)。一般に回路設計用のCADソフトを使用すると、ネットリストや部品リストも同時に作成することが可能です。

図1 回路図の参考例
図1 回路図の参考例
この回路図は、映像出力系のデジタル回路の一部です。アナログ回路と違いデジタル回路のため非常に複雑です。(図:メイコー)
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図2 部品リストの参考例
図2 部品リストの参考例
プリント基板に搭載する部品の品名や型番、特性値、部品番号などをリスト化します。(図:メイコー)
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