電子機器において、構成する各部品の使用温度範囲や機器としての温度範囲が守られるように設計する「熱設計」。小型化、開発期間短縮などにより、熱設計の難易度は高まるばかりです。クルマ以外でも電子化が進み、熱設計に配慮すべき分野も広がってきました。車載機器の熱設計を例に、その課題と最近の取り組みについて、現役熱設計者が解説します。(本誌)

連載
現役デンソー技術者が教える熱設計の極意
目次
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ECU高密度化と開発期間短縮で、必須になる実験レス熱設計
第1回
電子機器において、構成する各部品の使用温度範囲や機器としての温度範囲が守られるように設計する「熱設計」。小型化、開発期間短縮などにより、熱設計の難易度は高まるばかりです。クルマ以外でも電子化が進み、熱設計に配慮すべき分野も広がってきました。
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熱設計を開発工程に組み込み、フロントローディングを実現
第2回
熱設計のフロントローディングを実現するためには、実機での実験に頼りっきりになるのではなく、うまく熱解析を活用する必要があります。ところが、他の設計工程に比べ、熱設計では解析活用があまり進んでいません。
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制御で変わる発熱量、実測せずに精度よく把握する
第3回
熱設計をスムーズに進めるためには「精度の高い熱解析」が欠かせません。そのためには、半導体デバイスについて温度判定の基準となるジャンクション温度(Tj)を精度良く求める必要があります。そこで重要となる、ケース温度(Tc)実測のコツと半導体チップの発熱量を精度良く求める方法について、今回は解説します。
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過渡熱の見極めに、おなじみの「抵抗」が大活躍
第4回
自動車のECU(Electronic Control Unit)の小型化が進んだ。結果、急浮上してきている問題が発熱量・発熱密度の増加による温度上昇です。ECUきょう体だけでの放熱対策だけでは不十分であり、発熱源の半導体周辺の冷却に着目した熱設計が必須となっています。
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過渡熱解析用熱モデル、「早い、易い、上手い」を実現
第5回(最終回)
電子機器の熱解析は定常解析が一般的だが、車載機器ではここ最近、時間変化を伴うスイッチングロスのような過渡の発熱を捉える必要が急速に高まっている。これまでに過渡発熱量を導出する手法や過渡熱抵抗を測定する手法などを紹介してきた。今回はこれらを利用した、確度の高い過渡熱解析用半導体熱モデルについて解説す…