全7271文字
PR

熱設計をスムーズに進めるためには「精度の高い熱解析」が欠かせません。そのためには、半導体デバイスについて温度判定の基準となるジャンクション温度(Tj)を精度良く求める必要があります。そこで重要となる、ケース温度(Tc)実測のコツと半導体チップの発熱量を精度良く求める方法について、今回は解説します。

 本連載第2回では、熱設計を設計開発工程の上流で効果的に行うには熱解析の高精度化が欠かせず、高精度化に向けては正確な発熱量の把握が欠かせないことを紹介した。半導体の発熱量を正確に算出しないで製品設計を進めるということは、約半年かけて設計したプリント基板を改めて最初から設計し直すリスクを常に抱えているような状況である。

 発熱量を把握する際、精度に大きく影響するのは発熱測定の精度である。特にICやMOSFETといった能動部品の発熱量は、熱解析の精度に大きく寄与するため注意が必要だ。近年ではMOSFETのスイッチング損失の影響も無視できなくなっている。MOSFETの高速化(高周波化)に伴ってターンオン/オフの回数が多くなっているからだ。自動車に搭載される制御用コンピューター(Electronic Control Unit、ECU)内のMOSFETについて、実測2.1Wの発熱量を解析上で2.0Wと入力すると、実際の温度に対して熱解析の結果は約3℃も低くなってしまう。