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製造現場やプロスポーツといった「B to B」用途に限られたUWBがスマートフォンでの採用を機に、「B to C」用途にも広がりそうだ。UWBによる高精度測位が、自動車の次世代デジタルキーのほか、離れた位置からの非接触決済、家電連携など、多岐にわたる用途に向く。かつて無線の「革命児」と呼ばれたUWBが本領を発揮し始めた。

 2010年ごろにエレクトロニクス業界の表舞台から姿を消したかに見えたUWB(Ultra-Wide Band)注1)が、およそ10年ぶりに脚光を浴びている。きっかけは米Appleが2019年9月に発売した「iPhone 11」シリーズだ。同シリーズでUWBを採用し、多くのエレクトロニクス業界関係者を驚かせた。かつて、Appleが2011年に発売した「iPhone 4S」にBluetooth 4.0を採用したことで、Bluetooth Low Energy(BLE)搭載の周辺機器やIoT機器の市場が一気に誕生した。

注1)UWBの標準規格IEEE802.15.4aでは、中心周波数で約3.5GHzから約9.5GHzとしている。IEEE802.
15.4aではこの帯域で15のチャネルが決められている。このうち4つのチャネルの帯域幅は1GHzを超え、残りの各チャンネルの帯域幅は500MHzほどである。本稿ではこの帯域を利用し、高精度な測位・測距に向くインパルス方式の無線通信をUWBとして取り上げる。

 UWBでも同様の現象が起こる可能性が高い。製造現場やスポーツ分析ツール、ライブパフォーマンスといった「B to B」用途から、スマートフォン(スマホ)への採用で「B to C」用途にまでUWBが広がる見込みだ(図1)。

図1 スマホへの採用を契機に広がるUWB測位
図1 スマホへの採用を契機に広がるUWB測位
UWBによる測距・測位はこれまで製造現場やライブパフォーマンス、スポーツ選手の動きの分析といった「B to B」用途が主だった。スマートフォンがUWBの無線機能を搭載したことから、タグや決済、クルマなど、生活の様々な場所で利用が広がる。(図:日経クロステックが作成)
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