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ジョセフ・スワンではなくトーマス・エジソンになる
川添雄彦 氏 NTT 常務執行役員 研究企画部門長
図B NTT常務執行役員 研究企画部門長の川添雄彦氏
図B NTT常務執行役員 研究企画部門長の川添雄彦氏
IOWN構想の名付け親でもある。(撮影:日経クロステック)
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 白熱電球を発明した人が誰だかご存じですか? 有名な発明王のトーマス・エジソンではなく、実はジョセフ・スワンという人です。

 エジソンはスワンが発明した白熱電球をうまく事業化して成功しました。我々もジョセフ・スワンではなく、事業化で成功したトーマス・エジソンになりたいと考えています。

 NTTは1960年代から光技術の研究開発を始めました。GAFAなどのIT大手と比べると研究開発費は劣っていますが、積分値では負けていません。

 研究開発には瞬間的な資金の投入で解決できる分野と解決できない分野があります。原理原則を地道に積み重ねる基礎研究の分野は、時間的なファクターがとても重要です。瞬間的な資金投入だけがすべてではありません。

 もっともこれから社会実装に向けたフェーズに入ると、こうした瞬間的な資金投入が生きてくる可能性があります。我々は事業化という側面でも負けず、白熱電球におけるトーマス・エジソンのような存在を目指します。

 IOWN構想を発表したことで、研究者のモチベーションも高まっています。以前は「自分が今打ち込んでいる研究は何に使われるのか」「NTTにいないほうがよいのではないか」と悩む研究者もいました。でもIOWN構想を出したことで、研究開発の方向性がはっきりと提示され、「これに向けて研究開発すれば社会のためになる」と捉える研究者が増えました。

 IOWN構想の公表に伴って、中途入社する研究者も増えています。これまで研究所は新入社員がほとんどでしたが、ここに来て年間20人ほどを中途採用しています。IOWNに関連する他の機関に属する研究者にもお声がけしており、かなりの確率でNTTに来てもらっています。

 今回IOWNというビジョンが定まったことで、研究開発の体制も見直そうと考えています。IOWNのビジョンを推進する大きな研究開発体制にしていく方向感です。

 大きなビジョンが定まっていない時期は、研究と開発の両輪を回すことで、さまざまなヒントを得ながら研究の価値を高めます。この場合は、体制として研究と開発が一体化しているほうがうまく働きます。

 一方で今回のような大きな方向性が定まってくると、ビジョン実現に向けた研究開発と、地道に基礎研究を続ける領域を分けて考えたほうが効率的になります。このような方針で研究開発マネジメントをしていく考えです。(談)