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新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、ロボットの社会実装が一気に進みつつある。肝は「適ロボ適所」。人とロボットがそれぞれ得意な領域に役割を分担し、協働・共生していく現実解だ。こうしたサービスロボットが普及した先にあるのは、センサーを固定的に設置して実現するIoTではなし得ない、「最適化社会」である。

 将来、ロボットの歴史を振り返ったとき、コロナ禍に見舞われている2020~21年は、社会への浸透が本格化し始めた転換点と位置付けられているかもしれない─。

 「コロナ禍は、人間の仕事の一部をロボットで置き換える契機になると感じている。人間同士の接触を減らすために、例えば機械化を進める需要が急速に高まっている」。日本を代表するAI企業のPreferred Networks(PFN)執行役員ロボットソリューションズ担当VPの海野裕也氏はこう語る。

 日本でのロボット活用の歴史は約50年に及ぶ。工場のラインで柵に囲われて黙々と一定の作業をこなす産業用ロボットは1970年代から導入が始まった。一方、人間と隔絶された特定の場所ではなく、人間社会の様々なシーンでロボットが活用されるようになったかと言えば、否である。米iRobotの「Roomba(ルンバ)」などのロボット掃除機はそれなりに普及しているが、成功例はほんの一握りしかない。「ロボットについては、人それぞれに何らかの思い入れがある。ただ、僕らが子どものころに想像していた夢の世界が現実になったかと言えばそうではない。かつて抱いていたロマンが、まだどれ1つとして実現されていないのがロボットの領域。だから大きなチャンスがある」と、20年8月にAI開発などを手掛けるスタートアップのアセントロボティクス 代表取締役兼CEOに就任した、「プレステの父」こと久夛良木健氏は言う(Interview-1参照)。