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2021年2月、米カリフォルニア州車両管理局が、同州で公道試験を行っている自動運転車の20年度の結果報告書を発行した。ここから見えるのは、着実に自動運転技術を向上させる米国ベンチャー企業の姿だ。上位企業はロサンゼルスからニューヨークまでの距離を人の介入なしに5往復できる実力を見せた。今回の結果と、注目企業の動きを報告する。

 シリコンバレーを舞台に、自動運転の開発競争が激しさを増している。それに伴い、各社の技術力も向上。その実態が、2021年2月に公表された米カリフォルニア(加)州車両管理局(DMV)の公道試験の結果報告書(以下、20年度の報告書)で浮き彫りになった(表1)。人の介入なしに自動運転機能で走り続けられる距離は、多くの企業で前回の結果を超えた。中には、事故なしでロサンゼルスからニューヨークまでを、およそ5回往復できる距離に達する企業も出てきた。

表1 21年2月に加州DMVが発表した、20年度(報告期間:19年12月~20年11月)に各社が実施した公道試験結果
(データ出所:DMV、表の作成:日経クロステック)
表1 21年2月に加州DMVが発表した、20年度(報告期間:19年12月~20年11月)に各社が実施した公道試験結果
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 DMVの報告書は加州で自動運転の公道実験を実施する企業に義務付けた結果報告をまとめたもの。毎年2月ごろに発表され、その2年前の12月から前年の11月までの各社の試験結果が掲載される。21年2月発表の20年度の報告書では、19年12月から20年11月までの結果が対象だった。

 20年度に抜群の好成績を残したのが、米Waymo(ウェイモ)と米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)子会社の米Cruise(クルーズ)である。両社は以前から首位争いをしてきたライバル。いずれも19年度に比べて自動運転継続平均距離を2倍以上に伸ばし、4万5000kmを超えた注1)。このうち、Waymoがわずかに上回り、同距離は約4万8200kmだった。これは、米国大陸を横断して、ロサンゼルスとニューヨーク間をおよそ5往復できる距離に相当する。

注1)報告書の中で、各社の自動車技術を推定する指標の1つが、「Disengagement(離脱)」せずに自動運転機能だけで走行できた平均距離である。本記事では、「自動運転継続平均距離」とする。離脱とは、自動運転車の運転席にいるテストドライバーの判断で自動運転機能をオフにしたり、同機能が判断に迷ってテストドライバーに運転を引き継がせたりすることを指す。自動運転継続平均距離は、過去1年間で各試験車両が離脱した回数の合計を、自動運転による走行距離の合計(総走行距離)で割った値である。