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CruiseがWaymoを抜く

 2位のCruiseはWaymoに肉薄しているものの、一歩及ばずだった。だが、総走行距離では初めてWaymoを抜いた。Cruiseの約124万kmに対して、Waymoは約101万kmだった。両社ともコロナ禍の影響で総走行距離が19年度に比べて短くなったものの、Cruiseの減少幅は小さく、Waymoを上回った。

 実際に公道を走らせた試験車両の台数に関しては、19年度に226台だったCruiseは20年度に137台と約4割減少。対してWaymoは145台と19年度の110台から増やして、Cruiseを抜いた。公道を走行させた試験車両数が100台を超えたのは両社のみである。

 このように、WaymoとCruiseは自動運転継続平均距離と総走行距離、走行させた車両数のそれぞれで、甲乙つけ難い好成果を出した。そんな両社の自動運転車は、どのような理由でテストドライバーが介入し、「離脱」となったのか。DMVの報告書には、短いながらも離脱理由が書かれており、その原因をある程度推察できる。例えばWaymoの場合、離脱回数は全部で21回である。このうち、「自動運転システムによる対象物の認識ミス」注2)と、「想定外の状況下での同システムの不要な操縦」注3)を理由にテストドライバーが介入した回数が多く、いずれも8回だった。

注2)報告書では「Disengage for a perception discrepancy for which a component of the vehicle’s perception system failed to detect an object correctly」と記載されている。
注3)報告書では、「Disengage for unwanted maneuver of the vehicle that was undesirable under the circumstances」と記載されている。

 Cruiseの場合は、離脱回数は全部で27回。このうち最も多かったのが、「他の道路利用者(other road user)の悪質な行動」を原因とするテストドライバーの介入で、計17回となる注4)。次いで、「第三者(third party)による車線への侵入・妨害」を原因とする介入が多く、計5回だった注5)。ただし、「他の道路利用者」や「第三者」の定義が不明で、他人が運転する車両や自転車、歩行者のいずれか、あるいはすべてを指すとみられる。共通しているのは、自動車や自転車、歩行者といった何らかの意図を持って行動している第三者の振る舞いが原因で、テストドライバーが介入している点だ。これは、Cruiseがサンフランシスコという、道が比較的狭く、人通りが多い街中で公道試験を実施しているためだと推察できる。つまり通常の走行においては、ほぼ問題は発生せず、急な飛び出しや車線変更など、人間のドライバーでもヒヤリとする場面への対処が問題になるということだろう。

注4)「precautionary takeover to address controls, other road user behaving poorly」(4件)と「precautionary takeover to address perception, other road user behaving poorly」(7件)、「precautionary takeover to address planning, other road user behaving poorly」(4件)、「precautionary takeover to address prediction, other road user behaving poorly」(2件)を合計したもの。
注5)「precautionary takeover to address planning, third party lane encroachment」(4件)と「precautionary takeover to address planning, third party lane obstruction」(1件)を合計したもの。

 こうした好成績を見せる「米トップ2」に迫るのが、中国系企業である。自動運転継続平均距離で上位10社のうち、半数の5社が中国系企業だった。3位のAutoX Technologies(オートX)と4位のPony.ai(小馬智行)、6位のWeRide.ai(文遠知行)、そして7位の配車サービス大手Didi Chuxing(滴滴出行、DiDi)、9位のDeepRoute.ai(元戎啓行)である。20年度は、19年度の報告書で1位だったBaidu(百度)の名は消えたが、自動運転分野における中国系の層の厚さがうかがえる。