ふがいない大手自動車メーカー
自動運転継続平均距離で上位を占めるのはGM傘下のCruiseや米Ford Motor(フォード)傘下の米Argo AI(アルゴAI)を除き、新興企業が中心で大手自動車メーカーの存在感は薄い。同メーカーの中で自動運転継続平均距離が最も長いのは日産自動車(Nissan North America)で、約160kmとWaymoの300分の1ほどにすぎない。トヨタ自動車の傘下にある米Toyota Research Instituteに至ってはわずか4km弱だ。
この惨状の背景には、大きく2つの理由があると推察できる。1つは、大手自動車メーカーは目下、レベル2~3の自動運転機能を搭載した自動車の開発に力を入れていることである。例えば、米国の場合、目的地までの移動のうち、大半を高速道路の移動が占める。レベル2~3であれば、高速道路での運転を自動車側にある程度任せられる。それだけで運転手の負担軽減につながるので、自動車としての商品価値が上がる注6)。
もう1つの理由は、レベル4以上の自動運転に関しては、出資した新興企業の技術を取り込めばよい、と考えている節があることだ(図1)。例えばトヨタ自動車であれば、Pony.aiやDiDiに出資。デンソーと共に出資していた米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)の自動運転子会社を20年12月に買収した米Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)と、21年2月に自動運転で提携した。
Waymoと関係が深いのは旧Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ、FCA)、現・欧州Stellantis(ステランティス)である。20年度の自動運転継続平均距離で5位だったArgo AIは、Ford傘下ながらドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)も出資している。
以下では、米国の注目企業の動きを加州DMVの結果を交えながら解説する。取り上げるのは、自動運転技術で先頭を走るWaymoとCruise、自動配送に力を入れる米Nuro(ニューロ)、米Amazon.com(アマゾン・ドットコム)傘下の米Zoox(ズークス)、米Apple(アップル)だ。