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Waymo

技術も資金も死角なし

 Waymoは、アリゾナ州フェニックスで18年から自動運転車による移動サービス「Waymo One」を開始するなど、自動運転を手掛ける企業の中で最も実績がある企業だ(図2)。20年10月には、Waymo Oneにおいてテストドライバーが同乗しない運用を一般の利用者向けに始めた。近い将来、すべての車両をドライバーレスにしていく方針を示している。

図2 米カリフォルニア州パロアルトで停車中のWaymoの車両
図2 米カリフォルニア州パロアルトで停車中のWaymoの車両
2020年撮影。(撮影:日経クロステック)
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 加州でも積極的な動きを見せている。例えば21年2月に、サンフランシスコでの活動をさらに注力すると発表した。サンフランシスコは自動運転車にとってハードルが非常に高い。道が狭く、路上駐車も多い。一方通行も多く、走ってよい方向も分かりにくい。マナーの悪いドライバーも頻繁に目にする。歩行者が多く、信号を無視して渡ることもままある。自転車やバイクも多数走行しており、バスや路面電車も並走する。まさに世界の都市部の交通課題を集約したような場所で、たまにしか訪れない人には運転がしにくい場所だ。サンフランシスコを制することで、Waymoの自動運転技術は本格的な商用化に向けて離陸できる。車両の周囲の状況をくまなく把握できるように、例えば360度LiDARの開発に一層注力するという。

 資金面でも、盤石な体制を築いている。20年5月、外部から30億米ドルを調達したと明らかにした。外部調達は今回が初だという。同年3月時点での予定額22億5000万米ドルを上回る金額で、同社に対する評価の高さがうかがえる。さらに上方修正し、21年4月時点で32億5000万米ドルに達した。

 自動車メーカーとの関係強化も進んだ。20年6月には、スウェーデンVolvo Cars(ボルボ)と戦略的提携を結んだことを発表。Volvoの配車サービス向け電気自動車(EV)プラットフォームに、Waymoの自動運転技術「Waymo Driver」を統合するという。これにより、米自動車技術会(SAE)で定義された「レベル4」相当の自動運転機能を備えたEVを実現する。

 20年7月には、旧FCA、現Stellantisとの提携を強化すると発表した。Waymo Oneやカリフォルニア州での公道試験では、ミニバン「Chrysler Pacifica Hybrid」にWaymo Driverを搭載した車両を利用している。この関係強化によって、Waymo Driverを搭載する車両の種類を拡大する。

 VolvoやStellantisとの提携で強調したのは、Waymoの自動運転技術を配送車両に適用することである注7)。例えばStellantisとの提携強化では、配送用バン「Ram ProMaster」に同技術を搭載してレベル4相当の自動配送車両を実現する。Waymoは元来、レベル4相当の自動運転機能を備えた大型トラックによる配送サービス「Waymo Via」に取り組んでいる(図3)。その後、20年10月にドイツDaimler Trucks(ダイムラー・トラック)と、レベル4の自動運転技術を大型トラック分野で展開するために戦略的パートナーシップを締結したと明らかにした注8)

注7)米国では、コロナ禍を機に食料品や医薬品といった生活必需品や飲食店の料理などを宅配する配送サービスへの需要が急増した。自動運転車であれば感染リスクを大幅に低減できるので、Waymoは配送用自動運転車の開発の強化に動き出したのだろう。
図3 「Waymo Via」の大型トラック
図3 「Waymo Via」の大型トラック
レベル4相当の自動運転機能を備える。(写真:Waymo)
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注8)本格的な商用化を始める前に、自動運転車に対する社会受容性を高めるためと目される活動にも力を入れている。特に注力したのは、自動運転技術の安全に関する情報開示である。例えば、20年10月に安全に関する最新の報告書や論文などを公表した。21年3月には、自動運転車がいかに安全かをアピールする成果を見せた。実際に起きた交通死亡事故をシミュレーション上で再現。自動運転システムを適用することで、同事故の多くを回避できることを示した。一連の活動を通じて、自動車のユーザーに安全と判断してもらい、社会受容性を高める狙いがあるとみられる。