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Nuro

トヨタも注目の配送専業

 Nuroは、米Google(グーグル)で自動運転技術を開発していた技術者らが2016年に創業した企業で、シリコンバレーの一画であるカリフォルニア州マウンテンビューに本社を置く。20年度の報告書でも好成績を収めた。同年度の自動運転継続平均距離は約8100kmと8位につけた。

 同社が特徴的なのは、自動運転技術を乗用ではなく、荷物を運ぶ配送向けに焦点を絞っている点である。同社はソフトウエアだけでなく、独自の小型車両(以下、配送ロボット)も手掛ける。レベル4相当の自動車技術を備えた無人小型電気自動車(EV)「R2」である(図6)。

図6 Nuroの小型自動運転車「R2」
図6 Nuroの小型自動運転車「R2」
配送専用でレベル4の自動運転機能を備える。車室にドライバーや乗客が乗る場所は用意されていない。(写真:Nuro)
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 Nuroは、もともと有力な新興企業の1社で、20年はさらに多くの実績を重ねた。例えば20年4月に加州DMVからテストドライバーなしでの公道試験の認可を獲得。同年12月には、加州DMVから無人自動運転車による商用配送の認可を得ている。この認可によって、ベイエリアにあるサンタクララ郡とサンマテオ郡の指定された地域で商業サービスが可能になった。Nuroは、同地域郡にある、制限速度が時速35マイル(約56.3km)の道路において、晴天時に最大25マイル(約40.2km)で自動運転車を走行させて商業配送ができる。21年1月末時点で、テストドライバーなしでの公道試験の認可を得ているのはNuroを含めて6社あるものの、商用配送の許可を得たのはNuroだけである注9)

注9)20年10月に、R2を利用した無人配送の実証試験を加州マウンテンビューやテキサス州ヒューストン、アリゾナ州フェニックスで既に実施済みと発表。同月時点で継続していたのはマウンテンビューとヒューストンでの配送で、このうちヒューストンでは有償サービスを開始していた。マウンテンビューでの協業相手を明かしていない一方で、ヒューストンではドラッグストアチェーン大手の米CVS Health(CVS)や小売り大手の米Kroger(クローガー)と協業し、特定の地域に対して配送を実施していたという。このほか、Nuroは米Domino’s Pizza(ドミノ・ピザ)や米Walmart(ウォルマート)と協業するなど、大手と提携する場合が多い。

 同社は20年12月に同業の米Ike Robotics(アイクロボティクス)を買収。Ikeは高速道路を走行し、物流施設間を移動する大型商用車に向けた自動車技術を手掛けていた。Nuroは、大型物流倉庫から家庭までを配送する自動運転技術を有する企業になり、さらに飛躍する可能性を秘める。

 資金も集まっている。例えば20年11月、シリーズCの資金調達として5億米ドルを得たと明らかにした。かつて19年2月に、ソフトバンクグループのSoftbank Vision Fund(SVF)から9億4000万米ドルの出資を受けると発表し、この時点で総額10億米ドル超を調達していた。20年11月の発表時で、調達額は累計15億米ドルに達したとみられる。

 さらに、21年3月には、トヨタ自動車グループで、ソフトウエアやスマートシティー開発を手掛けるウーブン・プラネット・グループ(Woven Planet Group)は、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の「Woven Capital」を通じて、Nuroに出資したことを明らかにした。Woven Capitalの第1号の投資案件とする。この出資は、Nuroが実施したシリーズCラウンドの資金調達の一部になるという。