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五感が拡張された超進化型人間「ハイパーセンス」は、体性感覚を自在にコントロールできる。背景にはセンサーの小型化や高精度化といった計測技術の進化とAI分析、感覚提示などの再現技術の実現がある。その先には、個人の嗜好やセンサーと感性を関連付けたデータベースを用いる、究極のパーソナライズ化が待っている。

 五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の拡張によって実現するのが「ハイパーセンス」を獲得した超進化型人間だ。ハイパーセンスは、主にセンシング技術や感覚提示技術を身にまとい、それぞれの感覚の能力向上や機能追加を果たす。情報のインプット量とアウトプット量を調整することで、感度の強弱や検知対象を自在にコントロールできるようになる。人間そのものの仕組みを定量的に解明することで、サービス面では「究極のパーソナライズ」と呼べる領域に達することができる(図1)。

図1 “人間”の仕組みを解明して応用する「ハイパーセンス」
図1 “人間”の仕組みを解明して応用する「ハイパーセンス」
ハイパーセンスは五感の拡張によって得られる能力である。支えるテクノロジーは各種センサーや感覚提示技術。人間の身体感覚の解明が必須となる。身体感覚が数値化されれば、これまで定性的にしか捉えられていなかった人の感性や感じ方といった要素との関連性を分析し、新たな感覚能力を獲得。その先には究極のパーソナライズが実現する。(図:日経クロステック)
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 例えば聴覚の領域では、既に身近になっているものがある。それが完全ワイヤレスイヤホンなどのヒアラブルデバイスだ。ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)副所長兼東京大学大学院情報学環教授の暦本純一氏は「聴覚をコントロールできるヒアラブルデバイスは、人間拡張におけるウエアラブル機器の本命だ」と語る。

 ノイズキャンセリング機能が雑音を消去するように、逆に聞きたい音だけを集中して聞いたり、立体音響技術で複数人での話者を自動で識別したり、多言語の自動翻訳をしたりといった機能が実現する。超音波のような可聴域外の聞こえない周波数帯の音をヒアラブルデバイスが捉えて、可聴な音に変換して耳に届けるといった能力も獲得できるかもしれない。