全6543文字
PR

日本で5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスがスタートしてから約1年半が過ぎた。5Gの普及が始まったばかりであるにもかかわらず、早くも国内外で5Gの次の世代の通信システム「6G」に向けた動きが活発化している。見えてきたのは、5Gを超える多様な価値を提供するという6Gの姿だ。そんな6Gへの道を、6つのキーワードで解説する。

 6Gキーワード① 
サイバーフィジカル融合
世界観は各社で一致

 2020年以降、世界の研究機関や大手通信機器ベンダー、通信事業者などが続々と6G注1)に関するホワイトペーパーを公表している注2)。2030年前後の実現を目指す6Gに向けて、早くも世界で主導権争いが進みつつある。

注1) 移動体通信はほぼ10年ごとに世代交代する。2000年前後の3G、2010年前後の4G、2020年前後の5Gといった具合だ。6Gは同じく2030年前後の実用化を見込む。
注2)公表されている主な6G関連のホワイトペーパーは以下の通り。NTTドコモ「5Gの高度化と6G」(2020/01)、Nokia Bell Labs「Communications in The 6G Era」(2020/03)、6G Flagship「Key Drivers and Research Challenges for 6G Ubiquitous Wireless Inteligence」(2020/06)、Ericsson「Ever-Present Intelligent Communication」(2020/11)、KDDI「Beyond 5G/6Gホワイトペーパー」(2021/03)。

 各社のホワイトペーパーを読み解くと、6Gで実現する世界観は「サイバーフィジカル融合(Cyber Physical System)」という方向感でほぼ一致している(図1)。

図1 6Gはサイバーフィジカル融合を支えるインフラに
図1 6Gはサイバーフィジカル融合を支えるインフラに
国内外の研究機関や通信機器ベンダー、通信事業者が6Gに向けたホワイトペーパーを公表している。6Gを、サイバーフィジカル融合を支えるインフラにしていくという世界観は、多くのホワイトペーパーで共通だ。要求条件は、5Gの3つの軸の発展に加え、超カバレッジやセンシングとの融合など、新たな軸の提案も多い。(図:NTTドコモの資料などをベースに日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 サイバーフィジカル融合とは、現実空間のデータをサイバー空間で再現し、データを解析した上でその結果を現実空間に戻すこと。デジタルツインと同義だ。「物理的な世界をデジタルで再現する。そのためには大量のデータを瞬時にやり取りするインフラが必要になる」と、フィンランドの大手通信機器ベンダーNokia(ノキア)日本法人最高技術責任者(CTO)の柳橋達也氏は語る。

 サイバーフィジカル融合を支えるインフラとなる6Gの要求条件についても、各社のビジョンは似ている。100Gビット/秒の高速・大容量通信や1平方km当たり1000万デバイスの多数同時接続など5Gを拡張する方向性に加え、「超高信頼性」や「超カバレッジ」といった新たな機能の軸を増やす。6Gは、5Gを超えた多様な価値をもたらす通信インフラになる。