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仮想化基地局「virtual RAN」は、オープンな仕様に基づいてベンダー各社の基地局製品を組み合わせられる「Open RAN」と密接したテクノロジーである。これからの5G(第5世代移動通信システム)、そして5Gの次の世代の通信規格である「6G」へ向けた進展と切っても切り離せないvRAN についてエヌビディアが解説する。

 vRANとは、私たちが日常使っている携帯端末などが接続される移動通信ネットワーク、すなわち無線アクセスネットワーク(Radio Access Network、RAN)を構成する無線基地局(gNB)を仮想化システムで実現するものです注1)

注1)似た用語としてVLAN (Virtual Local Area Network)がありますが、こちらはローカルネットワークを論理的に分割するテクノロジーであり、vRANとは全くの別物です。

 2000年代半ばから本格化したサーバーの仮想化やクラウドコンピューティングによって、ITの世界では必要な時に必要な場所で、必要となるコンピューティングリソースを利用できる仕組みが確立されました。こうした流れはNFV(Network Functions Virtualization)という形で通信インフラにも広がりました。これまで専用ハードウエアで実現されていたネットワーク機能、例えばルーターやファイアウオール、アプリケーション・デリバリー・コントローラーなどを、ソフトウエア機能として実装。安価な汎用サーバー上に仮想化されたワークロードとして稼働できるようになりました。

 NFVは4G以降、移動通信ネットワークにも取り入れられました。移動通信ネットワークは主に、基幹網である「コアネットワーク(以下、CN)」と、基地局などの「RAN」で構成します。NFV化は、まずCNを構成するEPC(Evolved Packet Core)やHSS(Home Subscriber Server)、IMS(IP Multimedia Subsystem)といった機能から進みました。ただし携帯電話事業者のインフラに関連投資の7割以上を占めるといわれるRANについては、CNと同じ歩調では仮想化が進みませんでした注2)

注2)主な理由として4Gの時代は、複雑で高度なRANのリアルタイム信号処理を汎用サーバーで実現するのが容易ではなかったことがあります。さらに、これまで一枚岩で実現してきたRAN機能を最適に分割するインターフェースやAPI(Application Programming Interface)が十分に確立されていなかったことなども理由の一つとして挙げられます。