再生可能エネルギーの導入が進んだことで、海外では電力系統の需給バランスからはみ出した余剰電力も無視できない量になってきた。その課題を解決するため、蓄エネルギーシステムの大量導入が始まった。市場規模は少なくとも数十兆円。それに向けて、さまざまなタイプの蓄エネルギー技術が次々に提案され、主導権を握るべく走り出した。

蓄エネマシン猛レース
目次
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蓄電池の大量導入が急加速、新旧蓄エネ技術も続々参戦へ
第1部:技術比較
再生可能エネルギーの導入が進んだことで、海外では電力系統の需給バランスからはみ出した余剰電力も無視できない量になってきた。その課題を解決するため、蓄エネルギーシステムの大量導入が始まった。市場規模は少なくとも数十兆円。それに向けて、さまざまなタイプの蓄エネルギー技術が次々に提案され、主導権を握るべ…
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位置エネ利用は山陸海に拡大、回転や圧縮でもアイデア爆発
第2部:位置/運動エネルギー [揚水] [重力]
蓄エネルギーシステムの大量導入への熱狂は、Liイオン2次電池(LIB)以外のシステムへも広がり、100年前からある伝統的な揚水発電システムの再評価や改良版の提案から、究極のローテクともいえる重力蓄電、フライホイール、圧縮空気や液化空気など、ありとあらゆる奇抜なアイデアの提案ラッシュが起こっている。…
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貯め方は千差万別、LIB並みの発電コストの可能性も
第2部:位置/運動エネルギー [圧縮空気]
圧縮空気を利用したエネルギー貯蔵システムCAES(Compressed Air Energy Storage)も、1978年の最初の実用化から40年以上経った今、刷新に向けて動きだした。CAESは、“充電"時にコンプレッサーを駆動させて電力を圧縮空気に変換。発電時には、圧縮空気が膨張する力によって…
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“LIB並み”の低価格へ、新しい活物質の適用が相次ぐ
第2部:位置/運動エネルギー [レドックスフロー電池]
蓄エネルギーシステムを大量導入しようという動きは、古くからあるレドックスフロー電池(Redox Flow Battery:RFB)にも波及してきた。従来の電解液が高コストという課題を改善する新技術が次々と登場しているのである。
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武器は瞬発力、再エネ全盛時に蓄電池を守る
第2部:位置/運動エネルギー [フライホイール]
これまで核融合に供給する瞬時の大電力や鉄道車両の回生エネルギーの貯蔵に使われてきたフライホイールは、電力系統ではLiイオン2次電池と役割が被り、存在意義があまりないようにみえる。ところが、再生可能エネルギーの割合が増えてくればくるほど、実は重要さを増してくる。
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東レの水電解に世界が驚愕、吸蔵合金はアルミと鉄で実現
第3部:グリーン水素とその貯蔵技術 [水電解]
水素をめぐる開発や事業化で出遅れていた国内勢が巻き返しつつある。水電解では、東レがほぼ業界標準だった「Nafion」を諸性能で超える電解質膜を開発し、事業化を進める。これまで日が当たらなかったAEM形水電解には、パナソニックが参戦した。貯蔵では、水素吸蔵合金の格安材料も登場。三菱重工業は容量150…
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水素の大量貯蔵時代始まる、水素吸蔵合金の課題もほぼ解消
第3部:グリーン水素とその貯蔵技術 [水素貯蔵]
水電解装置で生産したH2は、原則どこかに貯蔵する必要がある。ただ、既存の技術では充填時または取り出し時の損失やコストの高さ、大量のH2の長期保管における気密性の低さやタンクなどの耐久性の低さといったさまざまな課題があり、必ずしも貯蔵が容易ではなかった。これらについても国内の企業や研究機関が課題を大…
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産総研のTi-Fe系が世界最大級の水素吸蔵合金システムに
産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)は、高圧ガス保安法の規制を受けない、「1MPa未満で2時間以内の充填」が可能なTi-Fe系水素吸蔵合金を開発した。