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レドックスフロー電池
“LIB並み”の低価格へ
新しい活物質の適用が相次ぐ

 蓄エネルギーシステムを大量導入しようという動きは、古くからあるレドックスフロー電池(Redox Flow Battery:RFB)にも波及してきた。従来の電解液が高コストという課題を改善する新技術が次々と登場しているのである。

 RFBはいわば“全液体電池”。タンクから電解液をポンプで、酸化還元反応用スタックに次々に送り込んで充放電させる(図18)。現在は、価数の異なるバナジウム(V)イオンを正負極の活物質に使うバナジウムRFB(VRFB)が主流だ。

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図18 電解液の低コスト化がRFB最大の課題
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図18 電解液の低コスト化がRFB最大の課題
RFBの特徴と開発のトレンドを示した。従来のRFBは電解液にバナジウム(V)を使うVRFBだ(a)。正極と負極共にVイオンを使い、その価数の違いで酸化還元反応が進む。LIBと比較して、発火の危険性が少ない、設備のうち容量だけ、出力だけをそれぞれ後付けで増やせるなどのメリットがあるが、V電解液のコストが高いことが課題となっている(b)。Vは中国などから輸入しているため、国際情勢や鉄鋼需要で価格が乱高下しやすい(c)。そこで、V電解液を日本国内で安価に調達する技術や、Vイオン系以外の電解液を使うRFBが台頭してきた。(図:日経クロステック)

 主な長所は、水系電解液を使うため発火する恐れがなく、有機電解液を用いる一般的なLIBよりも安全性が高い点。容量(電解液タンク)と出力(スタック)を独立して設定でき、特にタンクの容量を設置後からでも容易に増やせる点、などである。一方、水溶液に溶解した金属イオンを活物質とするため、エネルギー密度が低いなどの課題もある。