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フライホイール
武器は瞬発力
再エネ全盛時に蓄電池を守る

 これまで核融合に供給する瞬時の大電力や鉄道車両の回生エネルギーの貯蔵に使われてきたフライホイールは、電力系統ではLiイオン2次電池と役割が被り、存在意義があまりないようにみえる。ところが、再生可能エネルギーの割合が増えてくればくるほど、実は重要さを増してくる。

 フライホイールは、“充電”時にモーターを駆動させて「弾み車」という回転体を回転させて電力を貯蔵し、発電時には、弾み車が貯蔵している運動エネルギーを使って発電機を回して発電する(図23)。回転時に摩擦が発生するとエネルギー損失となるため、真空容器内で回転させたり、非接触で回転させたりする製品もある。

図23 高速応答性と高出力がフライホイールの持ち味
図23 高速応答性と高出力がフライホイールの持ち味
フライホイールの貯蔵原理と主な用途。電気エネルギーを、弾み車という円盤の回転運動の機械エネルギーに変換して貯蔵する。再エネが大量導入された場合、同期電源の慣性力が弱まり、再エネの出力変動が周波数の急激な変動を招く。蓄電池よりも瞬発力が高いフライホイールは、周波数変動が大きくなる前に封じ込めるのが得意だ。(図:日経クロステック)
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