補助金ありきではない、「持続的」なスマートシティー実現を模索する動きが活発化している。その中で重要な要素を担うのが「市民データ」だ。市民の日常生活から発生するデータを指し、スマートシティーが受け皿になる可能性が高い。街の日常を支え、市民と企業が共存共栄できるスマートシティーの在り方を探る。

間違いだらけのスマートシティー
目次
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補助金頼りに“さらば” 市民データで原資を生み出せ
総論
補助金ありきではない、「持続的」なスマートシティー実現を模索する動きが活発化している。その中で重要な要素を担うのが「市民データ」だ。市民の日常生活から発生するデータを指し、スマートシティーが受け皿になる可能性が高い。街の日常を支え、市民と企業が共存共栄できるスマートシティーの在り方を探る。
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実証実験止まりの日本 本質を考え、デンマークに学べ
専門家の視点
欧州では既にスマートシティーの議論が一段落し、実際に街に技術を取り込み始めている。新興国も成功したスマートシティーの事例から学びつつ、猛スピードで開発を急ぐ。ところが日本のスマートシティーは、実証実験レベルで止まってしまう技術開発や、首をかしげてしまう導入アプローチが多く、周回遅れになりつつある。
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街びらきから7年の今 陳腐化と停滞に立ち向かう
事例1:Fujisawaサスティナブル・スマートタウン
パナソニックが神奈川県藤沢市で手掛ける「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」。鳴り物入りで開発された街も7年目を迎え、課題が生まれている。転入者と、初期からの住民の意識の差、設備の陳腐化などだ。パナソニックの新商品・新サービスを生み出す実証実験の街であり続けるため、都市OSの刷新や住民…
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先進的な健康データ連携 実験で終わらせない模索続く
事例2:柏の葉スマートシティ
柏の葉スマートシティは技術色の強い街である。スタートアップや大学、医療機関と企業を結びつけて街を発展させようとしている。市民のデータを横串で利用できるようにするシステム基盤「Dot to Dot」の運用を開始し、複数のサービスが連携して付加価値を生み出す取り組みを始めている。ここで核となるのは、勝…
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巨大IT企業の逆張りで成功 「市民の同意」で分析可能に
事例3:スマートシティ会津若松
会津若松市のスマートシティープロジェクトは、地方都市で進む取り組みだ。市民の活動から集まるデータを企業がマーケティングに使えるようにするなどして、サービス無料化の原資を生み出す。そこで徹底しているのが、データを使う際にその使い道を明らかにして合意を得るオプトインだ。巨大IT企業に対する逆張りが、大…
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都市連動型メタバースから 現実世界との好循環を狙う
事例4:バーチャル渋谷
都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」を推進するのがKDDIだ。同社の狙いは、街の文化を仮想世界に持ち込むこと。仮想世界で生まれたムーブメントを現実世界に取り込んだり、現実世界のイベントを仮想世界に取り込んだりすることで相乗効果を出す。仮想世界との接点を使って都市のDX(デジタルトランスフォーメー…