空中ディスプレー技術の社会実装が、新型コロナ禍での非接触ニーズを追い風に立ち上がりつつある。タッチパネル代替が顕在化しているが、車載やサイネージなど他用途への展開の期待も大きい。しかし一方で、コストや視野角の狭さなど普及に向けて解決すべき課題も多い。今後問われるのは、コストアップに見合う「映像が浮く価値」の提供だ。
「光学素子、システム設計、コスト。これらのピースがそろい、やっと社会実装の一歩を踏み出した。これをきっかけに水平展開を進めていく」
2022年2月にセブン-イレブン・ジャパンが東京都内の6店舗で実証実験を開始した、空中ディスプレー技術を搭載したキャッシュレスセルフレジ「デジPOS」(図1)。そこに採用されている空中結像用光学素子「ASKA3Dプレート」の開発者であるアスカネットの大坪誠氏(空中ディスプレイ事業部研究開発チームスペシャリスト)は、感慨深げにこう語る。