食料、石油、そして半導体。21世紀において、半導体は戦略物資になった。
大量データの解析能力が企業や国家の競争力に直結する現在、高性能な半導体がなければ、高度なデータ分析もできず、科学技術の発展も見込めない。一方で、米中対立や、ウクライナ危機、大規模災害など、半導体のサプライチェーンに大きなゆがみを生み出す事態が次々と起こる。国家の存亡をかけて、世界各国が最先端半導体の確保に動き始めた。
食料、石油、そして半導体。21世紀において、半導体は戦略物資になった。
大量データの解析能力が企業や国家の競争力に直結する現在、高性能な半導体がなければ、高度なデータ分析もできず、科学技術の発展も見込めない。一方で、米中対立や、ウクライナ危機、大規模災害など、半導体のサプライチェーンに大きなゆがみを生み出す事態が次々と起こる。国家の存亡をかけて、世界各国が最先端半導体の確保に動き始めた。
日本動向
凋落の続く日本の半導体分野で、経済産業省が復権に動きだした。その第1弾が、熊本県への誘致が成功した、台湾TSMC(台湾積体電路製造)の新工場建設である。ムーアの法則が限界を迎える先で重要となる、3次元(3D)パッケージング技術や光電融合技術の先行開発でゲームチェンジも狙う。
Interview-1:東京理科大学大学院 若林秀樹氏
「これが最後で最大のチャンスだ。絶対に逃すな!」。こう檄を飛ばすのは、元トップアナリストで、経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略検討会議」有識者メンバーでもある東京理科大学大学院 教授の若林秀樹氏だ。半導体サプライチェーンが複雑化する一方、日本には先端ロジックの開発拠点がない状況が続く。日本政府…
欧米動向
米国と欧州がそれぞれ、半導体のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化に向けた法案を打ち出し、対策を進めている。背景には、半導体不足に加え、米中対立やウクライナ侵攻など社会情勢が不安定になるなか、半導体生産の大半がアジア地域に偏在していることに対する危機感がある。先端の前工程工場の建設を誘致しつつ、…
Interview-2:インフォーマインテリジェンス 南川 明氏
ファウンドリーの新工場建設が相次いでいる。米Intel(インテル)は半導体の先端プロセスでの競争に勝ち抜くため、拠点を次々と建造。対する台湾TSMC(台湾積体電路製造)は地政学的リスク分散に向けて海外拠点建設を進める。こうした動きに世界の「地産地消」傾向が重なり、先が読めない状況だ。半導体サプライ…
台湾動向
台湾TSMC(台湾積体電路製造)の独走が止まらない。ファウンドリー業界でのシェアは世界の約半分にもなる。TSMCはどのように工場の設立計画を進め、日々うつろう地政学的リスクに対応しているのか。台湾に拠点を置くアナリスト集団Isaiah ResearchのVice PresidentであるLucy …
Interview-3:アクセンチュア 村井 誠氏
産業界を混乱に陥れた半導体不足はいつ解消されるのか。そして、欧米が強化に向けてそれぞれ法案を打ち出すなど取り組みが活発化している「半導体サプライチェーンの強靭化」は可能なのか。ソニーなどで15年以上、半導体の研究開発や事業に従事した後、アクセンチュアでハイテク業界のコンサルタントとして活躍している…
韓国動向
今や国家の輸出金額の2割を占めるまでに成長した韓国の半導体産業。その中核が、半導体売上高の世界ランキングで首位のSamsung Electronics(サムスン電子)である。同社は22年も半導体事業に4兆円以上を投資、その地位の確保に急いでいる。韓国在住のITジャーナリストの趙章恩氏に、サムスン電…
日経エレクトロニクス&SEMIジャパン緊急アンケート
日経エレクトロニクスとSEMIジャパンは、2022年4月1日~中旬に国内に拠点を持つエレクトロニクス関連企業に対して、ウクライナ危機に起因する資源の高騰・逼迫などエレクトロニクス産業への影響について緊急調査を実施した。その結果、半導体メーカーは、数カ月分の在庫を確保しているため、ただちに生産に影響…