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南川 明氏
南川 明氏
インフォーマインテリジェンス シニアコンサルティングディレクター(写真:南川氏提供)

ファウンドリーの新工場建設が相次いでいる。米Intel(インテル)は半導体の先端プロセスでの競争に勝ち抜くため、拠点を次々と建造。対する台湾TSMC(台湾積体電路製造)は地政学的リスク分散に向けて海外拠点建設を進める。こうした動きに世界の「地産地消」傾向が重なり、先が読めない状況だ。半導体サプライチェーンは今後どう変わっていくのか。欧米や中国の半導体状況に詳しいインフォーマインテリジェンス シニアコンサルティングディレクターの南川明氏に聞いた。(聞き手=中道 理、内田 泰、久保田龍之介)

半導体不足の影響がいまだに続いています。今後の見通しを教えてください。

 半導体不足が続いている状況ですが、2021年の秋ごろから少しずつ、特定の分野での解消が進んでいます。これまで新型コロナウイルス特需で売れていたノートPCやテレビ、エアコンなどがある程度買い手に行き渡ったからです。

 これらの用途向けの半導体は全体の約3割ですので、需給が整ってきています。残り7割は、車載半導体を含めて足りません。

 このような状況ですが、今後の半導体不足の状況は本当に読めません。直近になって、半導体不足が加速する要因と、供給過多を引き起こす要因が出てきているからです。ただ、結論からいえば半導体不足は22年いっぱい続くでしょう。

 半導体不足が加速する要因としては、ここに来てさまざまな問題が勃発しました。最初は22年2月、キオクシアの工場トラブルでした。原材料に不純物が混入したことで、フラッシュメモリーの供給が1カ月くらい遅れました。そこで、フラッシュメモリーの価格が高騰することになりました。

 この状況に、パッケージ基板の不足やウクライナ侵攻が重なってしまった。ウクライナ侵攻は半導体露光装置向けの希ガス不足につながります。加えて直近では、化学素材大手の米3Mが22年4月にベルギー工場のラインを停止しました。人体に有害な物質とされる「パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」(PFAS)を使っていたからです。PFASは半導体製造に使っていますので、調達が難しくなりそうだという見方が出てきました。