NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社が第4世代移動通信システム(4G)でつながりやすさを競った結果、各社の人口カバー率の違いが問題になることはほとんどなくなった。エリアの狭い基地局を多数設置しなければならない第5世代移動通信システム(5G)では、携帯電話基地局を所有することが経営の重荷になりつつある。まずは、鉄塔の共用から始まり、やがて通信設備へと、シェアリングが携帯電話事業者の産業構造を変えていくこととなる。

特集
基地局インフラ、呉越同舟
~設備シェアリングがニューノーマルに~
目次
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ドコモが基地局鉄塔6000本を売却 所有から利用へ、産業構造の転換
総論
「NTTドコモが基地局を設置する鉄塔約6000本を売却」─。2022年3月末、そんな衝撃のニュースが業界を駆け巡った。携帯電話事業者にとって競争の源泉である基地局の設置場所(ロケーション)を手放すという、これまでの国内事業者の常識を覆す一手だ。国内で急速に動きだした「基地局トランスフォーメーション…
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ドコモから1000億円で鉄塔取得、設備共用の先駆者「JTOWER」の勝算
パート1:シェアリング事業者の視点
海外から出遅れること約10年。日本で機運が高まってきた設備共用(インフラシェアリング)ビジネスをリードしているのが、独立系のシェアリング事業者であるJTOWERだ。同社はNTTドコモから取得する基地局用鉄塔約6000本を基に、本格的に屋外設備共用事業を開始する。同一の設備に参画する携帯電話事業者の…
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ソフトバンクが米国で見た現実、鉄塔所有企業の強大化に警戒
パート2:先行市場の教訓
設備共用(インフラシェアリング)が一般化している海外では、通信事業者はシェアリング事業者の鉄塔などを借りて通信インフラを広げる。割り勘効果で設備を安く展開できるという期待がある一方、シェアリング事業者が強大になり過ぎると、鉄塔を借りる値段が上がっていくという懸念の声も聞こえる。ソフトバンクはそんな…
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東電PGや東急・住商が虎視眈々、異業種から設備共用へ参入続々
パート3:異業種の期待
日本で基地局の設備共用(インフラシェアリング)の機運が高まる中、ビジネスチャンスを目指して異業種からの参入が相次いでいる。東京電力パワーグリッド(PG)や、住友商事と東急がタッグを組んだSharing Design、三菱地所などだ。これらのプレーヤーが通信インフラの一翼を担うというビジネスチャンス…