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電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及によって需要が高まっている「パワー半導体」。名前は聞いたことがあるが、具体的な用途や、その他の半導体との違いが分からない人も多いのではないだろうか。知っておきたい事項をまとめた。

  • Q1 : パワー半導体って何?
  • Q2 : どんな製品で使われているの?
  • Q3 : なぜ今、注目が集まっているの?
  • Q4 : デバイスにはどんな種類があるの?
  • Q5 : シリコンパワー半導体にはどんな課題があるの?
  • Q6 : 次世代パワー半導体って何?
  • Q7 : シリコンパワー半導体はなくなるの?
  • Q8 : どんなメーカーが開発しているの?
  • Q9 : SiCとGaNはすみ分けられるの?
  • Q10 : SiCやGaNの次ってあるの?

Q1 パワー半導体って何?

 パワー半導体素子(以下、パワー半導体)は電源のスイッチのように、大きな電流をオン/オフできる半導体デバイスのこと(図1)。一般に半導体デバイスというとIC(集積回路)を思い浮かべるが、そちらは主に演算や記憶が目的であり、電流のオン/オフを目的としていない。一方で、パワー半導体は、大電流のスイッチングに特化している。パワー半導体では、大きな電圧に耐え、大きな電流を流せるようにする必要があるため、それに特化した構造を持つ。

図1 パワー半導体の役割は電流のオン/オフ
図1 パワー半導体の役割は電流のオン/オフ
パワー半導体はスイッチであり、制御信号に応じて電流オン/オフを行う。パワー半導体とインダクタンスやコンデンサー、抵抗を組み合わせることで、交流と直流を変換したり、昇圧や降圧をしたり、周波数変換をすることができる。一方、IC(集積回路)は、論理的な回路を集積しており、0と1に当たる信号を処理して、演算や記憶する機能を持つ(出所:日経クロステック)
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 パワー半導体のスイッチング機能は、主に電力変換で使われる。電力変換とは、交流を直流、直流を交流にする変換や、電圧をより高い電圧にする昇圧および低い電圧にする降圧、交流の周波数を変える周波数変換などを指す。インダクタンスや抵抗、コンデンサーなどと組み合わせることで、こうした機能を実現できる。