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2025年の覇権争いは、ほぼ5社に絞られた。電気自動車の巨人Teslaとタッグを組むSTMicroelectronicsを筆頭に、Infineon Technologies、Wolfspeedと続く。日本からはロームが名乗りを挙げ、onsemiも虎視眈々と上位を狙う。

 世界シェア40%(2021年、金額ベース)と、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスで他社を圧倒しているのが、伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)である。同社の躍進のきっかけは、2017年に出荷を開始した米Tesla(テスラ)の電気自動車(EV)「Model 3」の駆動モーター用インバーターに同社製のSiCパワーデバイスが搭載されたことだ(図1)。Model 3および内部構造がほぼ同じの兄弟車「Model Y」は、2022年第2四半期までに累計230万台以上を出荷するヒットとなっている。

図1 STマイクロはテスラとタッグを組む
図1 STマイクロはテスラとタッグを組む
Tesla「Model 3」のインバーター。STMicroelectronics製のSiCパワーデバイスを採用した。SiC MOSFETとSiC SBDの2素子を組み込んだチップを24個搭載する。なお、写真は第2世代のSiC MOSFETだが、現在は第3世代を出荷しているとみられる(出所:日経クロステック)
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 Model 3のインバーターには、1ユニット当たり24個、4WDの場合は2ユニットあるので48個のSiC MOSFETおよびSiC SBD(ショットキーバリアーダイオード)が搭載される。さらに、車載充電器にも12個のSiC MOSFET、12個のSiC SBDを搭載する。この結果として、圧倒的なシェアを獲得するに至ったのだ。

 旺盛な需要に応えるべく、生産キャパシティーを急ピッチで増やす。2020年時点ではイタリア・カターニャの1拠点生産だったが、2021年後半にシンガポール・アンモキョで生産を開始。2拠点体制に改め、2.5倍の生産キャパシティーを確保した。現在はカターニャの工場に8インチウエハーの生産棟を建設中で、2023年に8インチでの量産を開始する。