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将来、100兆円を超える巨大市場を形成するとの予測もある「空飛ぶクルマ」、つまり電動垂直離着陸(eVTOL)機の社会実装が近づいている。国内における本格始動の場は、開幕まで3年を切った「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博、4月13日〜10月13日)である。しかし、機体開発を含め、実現に向けた課題は多い。最新事情を追った。

 大阪・関西万博で政府など関係者が目指しているのは、eVTOL機の単なるデモ飛行ではない。万博会場の夢洲(ゆめしま)を中心に複数の路線で商用運航を実現することである注1)図1)。

注1)実際に万博で商用運航ができるかどうかは「まだ正式には決まっていない」(経済産業省)。万博の開催について責任を持つBIE(博覧会国際事務局)と2025年日本国際博覧会協会の調整によって決まるという。
図1 大阪・関西万博の会場鳥瞰(ちょうかん)図
図1 大阪・関西万博の会場鳥瞰(ちょうかん)図
大阪市の臨海部にある夢洲が舞台となる。150カ国・地域、25の国際機関の参加と約2820万人の来場者を見込んでいる(出所:2025年日本国際博覧会協会)
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 具体的には、万博会場周辺の遊覧飛行や、ニーズが高いとみられる空港と会場を結ぶ路線などが候補になっている。「万博は空飛ぶクルマが社会実装されている姿を見せる、日本で最初のタイミングになる。どこまで実現できるかはチャレンジだが、その後の社会実装を見据えてしっかりと安全に飛ばしたい」(経済産業省)。海外では2024年7月26日に開幕するパリ夏季五輪での商用運航を目指す動きも見られるが、準備にかかる時間の関係などから本格的な商用運航の姿を見せられるのは万博が世界初になる可能性もある。