テクノロジー見本市であるCESは、約300社の自動車関連企業が集結する「世界最大級の自動車ショー」〔主催者のCTA(全米民生技術協会)〕でもある。今回の注目ポイントは、電気自動車(EV)化と自動運転化という大きな潮流の中での各社の動きだ。ソニー・ホンダモビリティが新ブランド「AFEELA」のプロトタイプを公開するなど、注目を集める発表もあった。
「CES 2023」では、自動運転技術に代表されるクルマの知能化を打ち出した展示が目立った。具体的には自動車メーカー(OEM)や1次サプライヤー(Tier1)による「レベル3」以降の自動運転車両の発表、新型のLiDAR(レーザーレーダー)、車載ECU(電子制御ユニット)プラットフォームに向けたIC群、車載OSなどだ。その内容を見ていこう。
新製品発表のクアルコム
モビリティー関連企業の集まるラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)西ホールに、スマートフォン(スマホ)用SoC(System on a Chip)としてなじみ深い「Snapdragon」の文字が躍るブースがあった。米Qualcomm Technologies(クアルコム・テクノロジーズ)である。スマホ事業で培った技術をクルマに横展開する同社は、今回のCESで自社半導体の搭載車両を披露するなど、モビリティー事業を強くアピールした(図1)。
車載向けICの目玉として発表したのがデジタルコックピットとADAS(先進運転支援システム)、自動運転機能を1つにしたSoC「Snapdragon Ride Flex」である(図2)。「業界初のスケーラブルSoC群」(同社)と称するように、複数機能を同一ハードウエアに実装した。
このSoCは画像認識用SoCである「Snapdragon Ride Visionスタック」と連係動作し、車両周囲および内部に配置される複数のカメラ、ミリ波レーダー、LiDAR、マップを使用して各種機能を実現する。複数機能の同時実行に対応すべく、複数OSの同時動作、仮想マシンによるハイパーバイザーの有効化などができる。2024年の生産に向けて現在サンプル出荷中という。