
COVER STORY
目次
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銀行APIの波高し
接続料問題に漂う手詰まり感 民間任せが疲弊を招く
「銀行口座があると、こんなに便利になると示したい。口座を持つことの価値を高めていく」──。三菱UFJ銀行デジタルサービス企画部DX室新事業Gr調査役の柳澤隆氏は力を込める。
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BNPLの憂い
過熱の裏に潜む消費者保護のひずみ
「BNPL(後払い)へのニーズは非常に高い。この決済方式に対応し、より多くのものを売買してもらえるようにしたい」。こう語るのは、EC(電子商取引)サイト構築・運営支援を手掛けるBASE最高経営責任者(CEO)の鶴岡裕太氏だ。
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共通ポイントの無常
決済との一体化が招いた混沌 4強体制に異変あり
2021年12月8日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社長兼CEO(最高経営責任者)の増田宗昭氏は、イオン会長の岡田元也氏と向き合っていた。「今後もよろしくお願いします」。増田氏は岡田氏に対して足元の「Tポイント」の状況を説明し、ポイント分野でのさらなる連携強化の可能性を探ったようだ。
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電子帳簿 深まる混沌
戦略なき法制度対応が招く 「デジタル敗戦」からの足踏み
「2021年7月ごろに具体的な要件が示されたので、対応を進めてきた。ところが12月になって突然、『猶予期間を設ける』という話が出て驚いた」。ある大手銀行の関係者は、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法(電帳法)における「電子保存の義務化」に2年間の猶予が付いた点について、こう話す。
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見果てぬエコシステム
共存共栄を阻害するオープンイノベーションの落とし穴
「新しい金融サービスを世に送り出すサイクルをさらに加速させていく」。GMOあおぞらネット銀行で執行役員企画・事業開発グループ長を務める小野沢宏晋氏は、同行が2021年12月13日に開始したソフトウエア部品の売買サービスに関して、こう意欲をみせる。
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基幹系の針路
デジタル時代に残された「聖域」 傍観の先に果実なし
「対面中心の業務を前提とした基幹系システムから、いまだに脱却できない金融機関は少なくない。それらはいずれ、デジタル主体の基幹系を活用して新たなビジネスモデルを打ち出す銀行や証券会社の軍門に下ることになるのではないか」。
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リスキリングの要請
デジタル時代が駆り立てる 従業員のトランスフォーメーション
「5万人という規模で実施に踏み切ったことに本気度合いを感じる」。ある金融機関幹部は、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が2021年3月に開始した「SMBCグループ全従業員向けデジタル変革プログラム(以下、変革プログラム)」について感想を漏らす。
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金融データ 未知なる真価
規制緩和が生んだ新舞台 模索が続く収益化の道
「情報銀行という新しいサービスを世の中に広めていく。個人が自分のデータを安全に活用することでメリットを享受し、企業とつながる機会を作り出していきたい」。三菱UFJ信託銀行 経営企画部デジタル企画室調査役の大沢賢輝氏は、2021年7月に同行が開始した「Dprime」についてこう語る。
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人工知能 冷めぬ熱
過ぎ去った検証期 次なる焦点はガバナンス
「AI(人工知能)活用の実証フェーズは終わったと捉えている」。仙台に拠点を置く七十七銀行でデジタル戦略部デジタル戦略課課長を務める中津川拓氏は、同行の状況をこう説明する。
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サステナビリティーへの重責
気候変動対応が問う金融の本分
「保険会社として、自然災害や気候変動への対応は避けて通れない」。三井住友海上火災保険デジタル戦略部兼ビジネスイノベーション部課長の松井豊氏は、こう語る。同社が注力するのは、自治体の防災計画や災害対応を支援する「防災ダッシュボード」の開発。保険会社ならではのデータとテクノロジーを生かし、水災への対策…
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新仲介業の誤算
好機と制約のジレンマに二の足を踏む企業
「金融サービス仲介業」の船出が迫ってきた。金融庁は2021年6月2日、金融商品販売法の改正法である「金融サービスの提供に関する法律(金融サービス提供法、以下新法制)」を同年11月1日に施行すると公表した。2017年11月に金融審議会で議論を始めてから4年越しで、ようやく本格的なスタートを迎える。
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デジタルバンクの輪郭
危機感が開く進化の蓋
「国内初のデジタルバンク」を標榜する新たな銀行が2021年5月下旬、サービスの提供を始める。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)が設立した「みんなの銀行」だ。新たな銀行の開業は2018年のローソン銀行以来、約3年ぶりとなる。
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部品化する金融
Embedded Financeが導く究極の金融包摂
「損害保険はもともと人の行動にひも付いた商材。オンライン化する消費行動に金融を溶け込ませようとする動きには、いち早く注力する必要がある」。あいおいニッセイ同和損害保険 経営企画部プロジェクト推進グループ課長補佐の朝隈善彦氏はこう語る。
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混迷のペイロール
議論が持ち上がってから3年超。日本でもようやく「ペイロール(給与デジタル払い)」の解禁が近づきつつある。
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