
COLUMN
目次
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やまぬ日本の会計不正 制度と技術の両面に遅れ
非財務情報も含めた分析で不正検出の手法を研究
内部通報者を保護する「公益通報者保護法」が2006年に施行されて以来、日本における不適切な会計・経理(会計不正)は増加傾向にあった。東京商工リサーチが2022年に発表した調査結果によると、2019年には上場企業(有価証券報告書提出企業)のうち、74社が会計不正を開示した。
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Web3のルール整備は民間がリードすべき
現実と理想を分けた議論が必要 経験生かし国際的な規制づくりに関与を
「Web3」は、社会、ビジネス、組織、生活などに関するさまざまな変革の可能性を秘めたものだ。Web3が人々のライフスタイルにどれほど影響を与えるかはまだ見通せないが、新たなビジネスチャンスが生まれるのは間違いない。FinTechによって決済領域が変わっただけでも、大きな社会変革が起きた。Web3は…
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DXの進展で規制対応がより複雑に
FinTechやRegTechとSupTech 一体となったエコシステムが必要
金融庁で2019年まで金融規制・監督の担当を務めた。その経験を踏まえると、金融規制・監督を巡る課題はいくつかのフェーズに分かれる。
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DeFiの発展には適切な制度設計が急務
「Web3」を国家戦略として推進する動きが盛んになってきた。この動きを意味のあるものにしたいのであれば、パブリックチェーンの利用を前提にすべきだろう。インターネットの力を生かすためには、日本でガラパゴス化しても意味がない。過剰な地域性がないビジネスモデルを追求するにはパブリックチェーンであることが…
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自動運転の社会受容 保険が貢献材料に
事故の因果関係を明確にするのは困難 新たな保険の在り方が求められる
日本の損害保険市場は、強制加入の自賠責保険を含めると6割近くを自動車保険が占めている。それぐらい自動車と保険は密接な関係にあるのが現状だ。
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地銀に不可欠なのはリスクを取る勇気
利息頼みの収益構造から脱却を シンガポールDBSの取り組みが手本に
日本の金融業界では1988年以降、15年周期で大きな変革が起きている。1988年からの「第1周期」は米国による金融自由化の要請に始まり、時価会計など世界基準の会計原則への適合を進めた時期だ。
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DAO運営に無限責任のリスク
ヒエラルキーを残したDAOがまだ多い 法的な整備が喫緊の課題
新たな組織形態として「DAO(分散型自律組織)」が注目を集めている。その数は海外では既に数千に上るとみられており、日本でもさまざまなDAOが登場しつつある。
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データサイエンスは経営層こそ学ぶべき
金融機関のデータは非常に貴重 オープンにできればすごい価値を生む
滋賀大学は今年、「データサイエンス教育研究センター」を衣替えし、「データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター」を創設した。特に企業との連携をさらに加速させることになるだろう。
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AI任せでDXは起こせない
データの解釈は人が担うべき 金融分野は変化の先導役に
2022年4月に、アビームコンサルティングなど4社と共同で「データ連成イノベーションリテラシー」の育成講座を開設した。データ連成イノベーションリテラシーとは金融を含むあらゆる業界において、データを活用して新事業を生み出し持続的に利益をあげる上で必須となる基礎的な情報処理能力を指す。
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暗号資産は投機利用を抜け出せていない
決済利用ではステーブルコインに期待 「リノベーション」を超えた変化が必要
暗号資産(仮想通貨)はいま、スペキュレーション(投機)の道具になっている。暗号資産の取引が広がり始めた2014年ごろは「通貨」を目指し、決済での活用を真剣に考えていた。
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日本はいまだにオーバーバンキング
ATMの数は世界でも突出 求められる地銀再編の加速
「オーバーバンキング」という言葉が日本で話題に上り始めたのは1990年代ごろからだ。当時は不良債権処理が社会問題化しており、「銀行の数が多すぎ、貸出能力の高さが過剰な融資を招いた」ことが要因の1つとして指摘された。
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法人顧客の情報を巡る法的な不確実性をなくす
個人情報保護法に相当する法規制はなし 金融業界も人ごとにあらず
個人情報については、プライバシーの観点から法的保護の要請が強い。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利や利益を保護するために個人情報保護法が整備されてきた。
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デジタル人民元の国際決済は来年にも始まる
国内の民間サービスを凌駕する存在 イノベーション活動をそぐ懸念も
主要国で初となる中央銀行デジタル通貨(CBDC)の正式発行が秒読みの段階に入った。中国政府は2022年1月4日、一般向けに「デジタル人民元」用デジタルウォレット試行版の配信を始めた。これまで市中で進めてきた実証実験は、当局が抽選を通じて希望者に配布したお金を使うものだった。いよいよ一般の人が、アプ…
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「アイデア」が資本主義の主人公に
対応迫られる金融機関 「行内フィールドワーク」が有効
資本主義の在り方が変化し、現在に至っている状況を、私は「アイデア資本主義」と呼んでいる。従来の資本主義では資本が重要であり、資本を基に土地を買い、工場を建て、製品を作って売る。それでもうけを生み出し、さらなる成長・拡大を続ける、という循環を成していた。「何を作れば売れるか」が明確だったからこそ、こ…
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顧客基盤を抱える企業はFinTechも手掛けた方が良い
金融機関とFinTech企業は相互補完関係協業することで遠くまで行ける
日本でFinTechが産声を上げた2012年ごろと今を比べて大きく変わったのは、社会的に受け入れられるようになった点だろう。当時を思い返せば、金融の世界においてスタートアップ企業が信用できるのかという雰囲気がやはりあった。
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マイナンバー普及の鍵は民間利用の拡大
ライフイベントに沿ってサービスを展開 交付率7割超で状況が一変する可能性も
政府はマイナンバーカードの普及に向けて、「マイナポイント」付与の対象期間を延長するなどの施策を展開してきた。直近では、マイナンバーカードへの3万円のポイント付与も提案している。
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既存業界を覆す革新を認めないのが日本の現状
消費者保護は「建前」にすぎず デジタルシフトのスピードは諸外国に遅れている
共同創業者として経営していたライフネット生命保険が営業を開始したのは2008年。それから10年以上たち、金融分野における日本のデジタル活用は大きく進展している。それでも諸外国と比べると、変化のスピードは遅いと感じる。
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焦点は店舗のメリット 新検討会で可視化狙う
順調に伸びるキャッシュレス決済比率にも課題あり ボトルネックの探索と解決を繰り返すしかない
直近の5年間はインドに赴任していた。日本に帰国したのは7月のことだ。ご存じのとおり、同国は2016年に高額紙幣を廃止し、キャッシュレス推進施策を打ったこともあって、この時期に「Paytm」やデビットカードなどの利用が一気に広がった。もう1つ、重要な画期がコロナ禍だ。
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自動循環経済の到来でお金を意識しない社会に
個人が生産者になる時代 貨幣を使わず労働対価で購買可能に
デジタル通貨について20年以上研究している。ビットコインが登場する頃までは、新たなお金を設計することが社会のさまざまな問題の解決につながると考えていた。たが今では、お金自体を世の中から無くすことこそが解決策になると思っている。
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高齢者目線のデジタル活用が不可欠
正常加齢の高齢者でも認知能力は低下 金融ジェロントロジーの知見を生かせ
金融ジェロントロジー(老年学)は、加齢に伴う認知機能の変化が金融に関わる行動や意思決定にどのような影響を与えるかを扱う研究領域を指す。「高齢者に適する金融商品やサービスをどう開発するか」という文脈で捉えられることが多いが、我々はもっと広く、加齢に伴う認知機能の変化が経済活動全般に及ぼすさまざまな課…
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