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JR九州の超豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」や「或る列車」などの鉄道デザインで著名な水戸岡鋭治氏。近年は電車やバスにとどまらず、JR大分駅の駅舎や長野県・小布施町の街並みのデザインも手掛けるなど活躍の幅を広げている。同氏は稀代のヒットメーカーとしても有名だ。ヒットにつながるデザインや材料選択の考えについて水戸岡氏に聞いた。

写真:吉成大輔
写真:吉成大輔

 素材が決まらないとデザインはできない─。これが、僕のデザインにおける材料の位置付けです。スタイルも形も色も予算も素材で決まります。もっと言えば、プランの段階から材料選択は大きく影響します。

 電車にしろ船にしろ建築にしろ、どんな素材を使ってデザインするかがとても重要です。多くの場合、素材そのものがデザインのスタイルを決めているからです。

 僕は可能な限り天然素材を使いたいと考えています。ところが、天然素材を使うのは大変です。コストが高くなるし、手間もかかる。メンテナンスにお金が掛かる上に、外観や質感も均一ではない。作る側には不都合なことがたくさん生まれます。利益率や利便性を重視するなら金属や樹脂、ガラスといった一般の工業材料ばかりを使った方が楽です。でも、それは作り手側の都合であって、利用者の視点に立っているとは言えません。天然素材は利用者のうれしさや、心地良さ、珍しさなどの期待値を高めていくからです。

 天然素材は量をそろえるのが大変です。特注品や一品物なら必要な分だけ量があれば十分。でも、全てを天然素材で作る必要はありません。一部に天然素材を使い、残りに工業材料を組み合わせるという方法を使うと、量の問題を回避できます。