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日経ものづくりの2012年3月号「多視済済」(現在の「ものづくりQuiz」)で紹介し、大きな反響をいただいた新しい撹拌機「M-Revo」。開発者はこの人、エディプラス(本社さいたま市)代表取締役の村田和久氏だ。羽根を使わずに撹拌するという常識破りのアイデアは、「ポケットマネーでやれ」と言われて生まれた。村田氏が、革新技術の開発秘話を語る。 (聞き手は本誌編集長 荻原博之)

(写真:栗原克己)
(写真:栗原克己)

 攪拌機を開発したきっかけは、塗装工程をカイゼンするためでした*1。自宅の横には、親族が経営する、電子機器の設計・製造と工業塗装を手掛けるヤマテック(本社さいたま市)という会社があって、子供の頃から塗装工程を見てきました。そこでは塗装機や塗装ロボットといった設備はどんどん良くなっていくのに、攪拌作業だけは変わりません。塗料の入った一斗缶などに、羽根の付いた手持ちの攪拌機を入れてガーッと回す。何十年と同じなんです。

*1 写真中央に見える攪拌機は、半球状金属の下方と側方それぞれに3個ずつ穴が開き、中でつながっている。これを回すと、穴の中に入り込んでいる水を側方の穴から遠心力で放出し、同時に下方の穴から水を吸い込む。これにより、羽根がないのに攪拌が可能となる。

 私は、ヤマテックの電子機器事業部に20年くらい在籍してから工業塗装事業部に移りました。そこで改めて塗装工程を見ると、今申し上げたようなやり方ですから、攪拌作業中に塗料が飛び散ってしまうんです。現場は壁や床などをビニールで養生し汚れたら交換する。そこには「汚れないようにしよう」という発想がありません。ちょっと不思議でした。

 実は、それ以上に気になったのが塗装ラインのチョコ停*2です。1週間に1回、15分以上止まるんです。かつていた電子機器事業部には実装機の自動ラインが1本あり、そこでは「何があっても止まらないライン」を目指してやっていました。対して、ここ工業塗装事業部では「止まるのがデフォルト」。やはりおかしいと思って、カイゼンしようと考えたんです。

*2 チョコ停 小さなトラブルによる短時間の設備停止のこと。

 調べてみると、チョコ停の原因は塗料の色替えに使うニードルバルブにありました。ゴミが詰まって、色の供給が止まらなかったり別の塗料が逆流してきたりという現象が起きていたのです。実際、異常になったバルブからは毛玉のようなゴミが出てきました。現場に聞くと、「毛ゴミはどうしても入ってしまうんです」と、気にしません。しかし素人の私には納得できず、毛ゴミがどのように入るのかを調べることにしました。

 ある時、たまたま磁石を持っていた手で毛ゴミを拾おうとすると、それがくっついたんです。なぜだろうと思って顕微鏡で見てみたら、毛ゴミの中に糸状の金属が混ざっていました。その混入経路を考えると、塗料ラインはあり得ません。構成する金属が真ちゅう、非磁性のステンレス鋼、アルミニウム合金と、全て磁石にくっつきませんから。怪しいのは攪拌工程です。