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和歌山市に本拠を置く従業員14人の電動バイクメーカーglafit。クラウドファンディングで1億円以上を集めて華々しく登場したが、そのウラには中国製造の経験と5年の準備があった。これまで5社を起業してきた今年39歳の鳴海禎造社長にとって、電動バイクはあくまで最初のステップに過ぎない。目指す最終形は和歌山で生産する「21世紀のホンダ」だ。(聞き手は山田剛良=本誌編集長、コヤマタカヒロ=フリーランスライター)

写真:加藤康
写真:加藤康
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 ビジネスの面白さに目覚めたのは15歳。そこからいろいろなビジネスを手掛けて大学卒業後にすぐ起業しました。これまで全部で5社の立ち上げ経験があります。そのうち2社は中国での起業です。glafit(グラフィット)の母体になったのは26歳の時に2社目として立ち上げたカー用品の企画製造販売会社「FINE TRADING JAPAN」です。この事業は10年以上続いていて年商も4億円くらいあります。

 クルマが好きでもともとは和歌山でオリジナルのカー用品を造るつもりでした。でも当時は円高で日本の工場がどんどん海外に移転している時代。製造委託をしようと日本国内の工場を回っても事務所機能しかなくて、実際に造っているのは中国という状態でした。

 ならば中国に行くしかないと思って単身中国に渡り、香港と広東省に貿易会社を設立しました。そこから中国の工場にお金を入れるなどして、中国に自前のものづくりのための基盤を作ってきました。

 glafitはこのカー用品会社の自社ブランド事業として2012年にスタートしました。きっかけは経営の師匠と仰ぐある人物の問いかけ。あるとき「何のためにビジネスをしているのか、どこに向かいたいのか」と聞かれて全く答えられなかった。それ以来自分が本当にやりたいことは何かをずっと考え続けて出てきた答えが、「ホンダのような自動車メーカーになりたい」でした。

まずは自社ブランドの確立から

 それまで取り扱っていたカー用品はパッケージも白箱と黒箱、商品に特に名前も付けず、ノーブランドのようなスタイルで販売していました。しかしホンダのような自動車メーカーになるなら、自分たちが造り育てていく乗り物メーカーとして、ちゃんとしたブランドを築かなければいけない。glafitブランドを立ち上げたのはそう考えたからです。

折り畳んだglafitバイク GFR-01
折り畳んだglafitバイク GFR-01
(出所:glafit)
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 ただそこからどうやったら自動車メーカーになれるか、その道が見えなかった。いろいろと調べて、ホンダもスズキも最初は自転車にエンジンを付けた「自転車バイク」から事業をスタートしていたと知りました。ならば自分達も自転車バイクが第1歩かもしれないと考えました。それをEV(電気自動車)でやろう。まず電動自転車バイクで始めて事業を育て、最終的にはホンダのような自動車メーカーになる。そんな構想を描いたのです。