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フェイルセーフの原理をはじめ、安全の研究がライフワーク。人間、技術、組織の3者が補う「協調安全」の推進を目指す中で、鉄道開業150周年の節目に、鉄道総合技術研究所のトップを務める。鉄道はまさにフェイルセーフを基本とするシステム。安全の追求は、経験に頼るだけではなく理論的枠組みが必要であり、情報通信技術の活用も進めるべき、と研究機関の役割の大きさを説く。(聞き手は木崎健太郎、高市清治、吉田 勝)

写真:加藤 康
写真:加藤 康
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 いろいろなところで、よく「ハイボールの原理」についてお話をしています。お酒のハイボールにも関連する話です。

 ハイボール、すなわち高く掲げたボールは昔のイギリスの鉄道で安全の合図に使っていました。低いボールを安全の合図にしてしまうと、何かの不具合でボールを上げられないときにも列車が出発してしまうので、安全を示す信号はエネルギーの高い状態に対応させるのが基本。列車を待つ人々がウイスキーを飲みながら待っていて、ハイボール信号を見て、ウイスキーを炭酸で割って一気に飲んでホームに向かったというのがハイボールの語源であるという説があります。

 このハイボールの考え方は、フェイルセーフの基本原理の1つです。私はフェイルセーフの基本原理についての研究をライフワークにしてきましたから、鉄道には以前から大変興味がありました。鉄道は、(列車や線路が)壊れるような状況では必ず列車が止まる方向に働くシステムになっているのです。