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 東芝は、2019年11月28日に技術戦略説明会を開催し、産業用IoT(IIoT:Industrial Internet of Things)や人工知能(AI)などの事業戦略を明らかにした。

 IIoT事業については、標準技術の活用による期間短縮やコスト削減で、先行する日立製作所やドイツのシーメンス(Siemens)などを追い上げて世界トップ3を目指す。世界3位の特許出願数を誇るAIに関しては、蓄積してきた技術を生かして顧客課題の解決力を強化するとともに、技術者を現在の3倍近くに増強する。

デンソーなどに提供開始

 技術戦略説明会では、IIoT事業の戦略策定を手掛ける山本宏氏(コーポレートデジタイゼーション最高技術責任者(CTO) 兼 デジタルイノベーションテクノロジーセンター長)が、世界トップ3入りを狙うための道筋を示した。

 具体的には、まず2019年度中(2020年3月まで)に12のIIoTサービスの提供を始める()。製造業向けサービスをデンソーや不二越に、エネルギー業界向けサービスを三井物産などが保有する火力発電所に提供すると決まっている。実証実験から本格導入へつなげる。

表 2019年度中に提供開始予定のIIoTサービス
(東芝の資料から日経ものづくりが作成)
表 2019年度中に提供開始予定のIIoTサービス
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 東芝のIIoTサービスの特徴は、山本氏が策定した「Toshiba IoT Reference Architecture」と呼ぶアーキテクチャーに基づいている点にある(図1)。同アーキテクチャーを「サービスの設計図のテンプレート」(同氏)として活用し、多様なサービスを短期間かつ低コストで構築するという。同アーキテクチャー自体が、米国立標準技術研究所(NIST)の「Cyber-Physical Systems(CPS) Framework」や、米国企業主体のインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)の「Industrial Internet Reference Architecture(IIRA)」などの標準を“下敷き”にしており、相互運用性や外部連携性を高めやすくなっている。

図1 「Toshiba IoT Reference Architecture」
図1 「Toshiba IoT Reference Architecture」
サービスの設計図のテンプレートとして活用し、短期間・低コストでのサービス構築を目指す。(東芝の資料から日経ものづくりが作成)
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 「(顧客ごとの)SI(システムインテグレーション)はしない。工場で製品を造るようにサービスを生み出せるようにしたい」(同氏)。さらに、データの入出力に関するインターフェースを公開。API(Application Programming Interface)化によって、ユーザーやサードパーティー企業によるサービス開発・改良も促す。

 当初は、東芝のハードウエアを対象としたIIoTサービスを中心に展開していく。その後、同様のIIoTサービスを他社のハードウエアにも拡大する。その際、サービスやそれを構成するコンポーネントの再利用性を高めて利益率の向上を狙う(図2)。

図2 IIoTサービス展開計画
図2 IIoTサービス展開計画
当初は自社のハードを対象にサービスを展開し(フェーズ1)、その後、他社ハードにも広げていく。(東芝の資料から日経ものづくりが作成)
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