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 電波が使えない水中での無線通信手段として、「光」、それも「可視光」を使った技術に注目が集まっている。

 水中無線通信といえば音響通信が一般的だが、その通信速度はせいぜい数十kbps*1。テキストデータは送れても、映像などの大容量データを送受信するのは難しい。しかし、100Mbpsクラスの高速通信が可能になれば、例えば「水中ドローン」の産業活用が一気に進む可能性がある(図1)。地上や船上との間に必要だった通信ケーブルが不要になって行動範囲が広がり、自律航行や水中探査へのハードルが格段に下がるからだ。

*1 音響通信を高速化する研究も進んでいる。例えば、NTTの「海中超音波MIMO多重伝送技術」は、海中で1.2Mbpsを達成。実用化は3〜4年後とみられる。
図1 可視光無線通信装置を搭載した水中無人探査機(ROV)
図1 可視光無線通信装置を搭載した水中無人探査機(ROV)
東京海洋大学と海洋研究開発機構、島津製作所らが実施した実験で用いた機体。(出所:東京海洋大学)
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 水中における可視光通信は英国企業などが製品化で先行するものの、日本でも対応する技術・製品が現れ始めた。カギになるのは、半導体レーザー技術だ。