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 「2年前から手を打ってきたが、このままでは事業の継続は難しい。失敗を認めて正しい方向に進むことにした」。

 日産自動車(以下、日産)の経営が厳しい状況に陥っている。2020年3月期(2019年度)決算は、08年のリーマン・ショック以来、11年ぶりの赤字に転落した。こうした状況を受けて同社は、23年度までの4カ年の新たな中期経営計画(事業構造改革計画)を発表した。同社社長兼CEO(最高経営責任者)の内田誠氏は、同計画の発表会見で冒頭のように述べ、構造改革を断行する決意を示す(図1)。

* 2019年度通期の業績については、売上高は前年度比14.6%減の9兆8789億円、営業損益は前年度の3182億円の黒字から、405億円の赤字に転落した。20年度通期(20年4月〜21年3月)の業績見通しは、「合理的に算定できない」(内田氏)として発表を見送った。
図1 日産自動車社長兼CEOの内田誠氏
図1 日産自動車社長兼CEOの内田誠氏
「2023年度までに、18年度比で3000億円の固定費を削減する」と。(出所:記者会見オンライン中継)

 生産能力と人員を削減する構造改革が同計画の柱だ。23年度までに18年度比で3000億円の固定費を削減。加えて車種や市場の“選択と集中”などにより、19年度に最終赤字となった業績のV字回復を目指す。

 ゴーン時代の“薄利多売”の拡大路線が行き詰まった日産は、19年度に入り世界販売が落ち込み、業績が急激に悪化した。急ぎ拡大路線から脱却し、収益の回復を目指したが、足元の業績は想定以上に悪かった。

 そこに直撃したのが、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大だ。新型コロナを乗り越えて日産は生き残れるか。職を賭した内田社長の取り組みが正念場を迎える。