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 「それで、いくら儲(もう)かるんだ?」─。持続可能な開発目標(SDGs;エスディージーズ)への取り組みの必要性を説明する担当者に経営者がこう投げかける。心当たりがある企業は多いのではないだろうか。

日本ではまだまだ「きれいごと」

 SDGsは持続可能でより良い世界をつくることを目指す国際目標である。2015年9月の国連サミットで採択され、2030年を年限とする17の国際目標(ゴール)が設定された(図1)。現在、SDGsの推進は全ての日本企業にとってマスト(必須)となっている。それでも、SDGsをCSR(企業の社会的責任)や企業イメージ向上の一環としか捉えていない日本企業は多い。

図1 SDGsの17の目標
図1 SDGsの17の目標
(出所:国際連合広報センター)
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 ところが、「社会的な善行と稼ぐこととは両立できる」と公言する企業が欧州にある。オランダの大手総合化学メーカーであるRoyal DSM(以下、DSM、図2)だ。持続可能性(サステナビリティー)にいち早く取り組み、SDGsへの取り組みで世界中の企業の模範となっている。例えば、米経済誌「FORTUNE(フォーチュン)」が2015年から始めた「世界を変える企業50社(Change the World)」には、2016年から3年連続でリストに入った。

図2 DSMの本社
図2 DSMの本社
オランダのリンブルフ州ヘールレン市にある。(出所:DSM)
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 同社の2019年の売上高は90億1000万ユーロ(約1兆1263億円、1ユーロ=125円)で、純利益は7億6400万(約955億円)。純利益率は約8.5%と、製造業としては確かに高い。売り上げの3分の2はビタミンなどの微量栄養素事業、3分の1がエンジニアリングプラスチック(エンプラ)や塗料添加剤、繊維などの材料事業となっている。