東芝は、従来材料を置き換えるだけで鉄道車両向けモーターの効率を向上させる新しい磁性材料を試作した。「磁性くさび」と呼ばれる部品に使う(図1)。この磁性くさびを誘導モーター(IM:Induction Motor)に適用した場合、「永久磁石同期モーター(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)に迫る高効率を狙える」(同社)という。現在、IMは鉄道車両の駆動用として主流のモーターだ。
在来線を想定した動作条件で試験した結果、磁性くさびの適用前に94.9%だった効率は適用後に0.9%増の95.8%になった。97%前後のPMSMよりも若干低いものの、IMとしては高効率である。競合企業も鉄道車両用モーター向け磁性くさびを開発済みだが、同社は「我々の方が高性能」と自信を見せる。今回の磁性くさび材料を適用する場合、モーターの設計をほぼ変更する必要がないので、「最小限のコストで効率を上げられる」(同社)のがメリットだ。