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 2021年2月中旬、トヨタ自動車の工場が一時操業停止した。国内の完成車工場全28ラインのうち、14ラインが最長で21年2月17~20日の4日間操業を停止。その後も同月22日から、4工場5ラインが3日間、4工場・7ラインが2日間にわたり操業を止めた(図1)。原因は、同年2月13日の深夜に発生した福島沖地震である。最大震度6強の強い地震が部品メーカーを襲い、調達できない部品が生じたようだ。

図1 トヨタ自動車の工場
図1 トヨタ自動車の工場
写真はトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)の宮城大和(たいわ)第3工場。同工場は今回、稼働停止していない。(出所:日経ものづくり)
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 新型コロナウイルス禍にありながら業績を急回復させているトヨタにとっては水を差された格好だ。だが、仮に1日当たり5000台分のクルマの生産が止まったとしても、影響は3万台程度。被災から立ち直れば、増産によって比較的簡単にカバーできる量だろう。

トヨタ生産方式の弱点が露呈?

 こうした災害などのトラブルでトヨタ自動車が生産を止めると、必ずといってよいほど出てくるのが「トヨタ生産方式の弱点が露呈」という声だ。多くは、トヨタ生産方式の柱の1つとして知られる「ジャスト・イン・タイム(JIT)」生産方式へのネガティブな評価だ。「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ調達するというジャスト・イン・タイムなどにこだわっているから、部品の欠品という事態を招くのだ」というのが、典型的な論調である。最近聞いたのは、新型コロナの感染拡大の影響で世界中の工場が生産調整に陥った、いわゆる「第1次工場稼働危機」の際にもこうした声が相次いだ。

 だが、誰から何を言われようと、トヨタがJIT生産方式をやめた事実は過去にないし、これからもないだろう。「その理由は、深掘りして本質をつかめば見えてくる」(同社関係者)。トヨタ自動車がJIT生産方式にこだわるのには、2つの理由がある。