マツダとミズノは2021年7月6日、乗用車やトラックなどの運転用シューズを共同開発したと発表した(図1)。伸縮する素材を足首付近に装着して、ペダルを踏み替えやすくしたのが特徴だ。長時間の運転でも足が疲れにくいという。
足首の周りに装着したのは、ポリウレタン弾性繊維を加工したもの。ゴム糸のように伸縮しやすい同繊維が元に戻ろうとする力を利用して、つま先を引き上げる方向に力を働かせる。すると、ペダルを離しやすくなり、アクセルとブレーキを小さな力で踏み替えられる(図2)。マツダは、脛(すね)の筋活動が、スニーカーを履いた場合よりも低減する傾向を確認したという。
運転用シューズにポリウレタン弾性繊維を加工した素材を採用したのは、ミズノが競泳用水着の開発で培った知見が大きい。同社は、水中で太ももを持ち上げて水の抵抗を減らすために、競泳用水着にポリウレタン弾性繊維を加工した素材を採用している。
ミッドソールやかかとにも工夫
この他、スムーズな踏み替え操作を実現するためにかかと部分に丸みを持たせたり、「MIZUNO COB」と呼ぶミッドソールを採用したりしている(図3)。MIZUNO COBは、アスリートのバランス能力や反応速度向上を狙うためにトレーニング用シューズに取り入れていたミズノ独自のソール構造。ドライバーの操作感を高められるとしている。
マツダとミズノは、繊維などの素材の領域での技術交流を皮切りに、かねて複数の分野で技術者同士の交流を進めてきた。17年に、マツダで車両の運動性能開発を担当するチームと、ミズノのシューズ開発の部門が交流を始めたのが、今回の運転用シューズの共同開発のきっかけという(後述)。一般販売の予定価格は4万4000円(税込み)。ミズノの山崎ランバード工場(兵庫県宍粟市)で生産する。