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 東京五輪(2021年7月23日~同年8月8日)で誰もが目にしたであろう「リサイクル表彰台」(図1)。リサイクルプラスチックとアディティブ製造装置(3Dプリンター)を活用した、五輪史上初の試みだ。表彰台は、リサイクルプラスチック製の台の垂直面に、3Dプリンターで製造したレリーフ形状のパネルを貼っている(図2、3)。パラリンピック(21年8月24日~同年9月5日)の表彰台にも採用される。「表彰台もレガシーである」という大会の考え方を反映させた。

図1 東京五輪「柔道女子70キロ級」表彰式の様子
図1 東京五輪「柔道女子70キロ級」表彰式の様子
表彰台は、リサイクルプラスチック製の台の垂直面に、3Dプリンターで製造したレリーフ形状のパネルを貼って製作した。2021年7月28日に撮影した。(出所:日経クロステック)
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図2 表彰台の設営イメージ
図2 表彰台の設営イメージ
表彰台のデザインは、今回の東京大会のエンブレムを手掛けた美術家の野老朝雄氏が担当。野老氏による大会エンブレムのデザインコンセプトである「組市松紋」を立体化し、側面に表現している。伝統的な藍(あい)染めを想起させる色を採用し、日本らしさを世界に発信するデザインとして考案した。(出所:Tokyo 2020)
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図3 3Dプリンターで製造したプラスチックパネル
図3 3Dプリンターで製造したプラスチックパネル
約20cm四方のパネルを、表彰台の垂直面に貼っている。(出所:慶応義塾大学環境情報学部田中浩也研究室)
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 リサイクル表彰台は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)が、国内から集めた使用済みプラスチックを基に、海洋プラスチックも一部活用して表彰台を製作する「使い捨てプラスチックを再生利用した表彰台プロジェクト~みんなの表彰台プロジェクト~」として実現した。プラスチック処理時の環境負荷や海洋プラスチック汚染が地球環境保全を考える上で課題となる中、資源の再利用による持続可能な社会の実現を目指したプロジェクトだ。

 19年6月から9カ月間、イオングループの総合スーパーやドラッグストアなど国内の約2000店舗で、洗剤用など使用済みのプラスチック容器を回収。全国113の学校などからの協力も得て、最終的に回収したプラスチックは約24.5tに上った。

 素材提供には、米P&GグループのP&Gジャパンが協力した。P&Gは、リサイクルプラスチックの活用や海洋廃棄プラスチックの回収・再資源化などに関する知見を活用し、同プロジェクトに臨んだ。

 回収したプラスチックは、海洋プラスチック0.5tと合わせて再生材にリサイクルした。このリサイクルプラスチックを全98台の表彰台の製作に利用している。表彰台のプラスチックパーツは、全てこのリサイクルプラスチック製だ。