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 社長が自ら品質不正の隠蔽を決断・指示。多くの拠点が広範な製品でさまざまな品質不正を行った─。

 全貌が明らかになった日立金属の品質不正について、あるコンサルタントは「技術主導で顧客不在だ。経営幹部も本社部門および拠点の幹部も品質不正を認識していながら是正しなかった。極めて悪質な事例と言わざるを得ない」と断じる。

 同社は2021年10月26日、新たに品質不正を発表した(図1)。航空機・エネルギー分野の特殊鋼製品などで品質データを偽装するなどの不正が発覚。顧客仕様を満たさない製品(以下、不適合品)を出荷していた。不適合品を納めた顧客は105社で、不適合品の種類(鋼種)は約380に及ぶ。30年にもわたって不正を行っていたことが明らかになった。

図1 日立金属の品質不正に関する調査報告書
図1 日立金属の品質不正に関する調査報告書
(写真:日経クロステック)
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