三菱電機の製品開発における不正が新たに見つかった。業務用エアコンに関して、省エネ性能の指標であるCOP(エネルギー消費効率)値を偽り、実力値の約1.3倍の値をカタログに記載していたことが、日経クロステックの調べで分かった。同社では定格COP値の「かさ上げ」が行われていたとの声が関係者から上がっており、それを裏付ける形となった(図1)。
不正が見つかったのは、同社が2011年に発売した業務用エアコン「シティマルチY GR」シリーズ。最も売れ筋である高効率タイプの10馬力(定格冷房能力28kW)製品「シティマルチY GR〈高COPシリーズ〉PUHY-EP280DM-G」(以下、11年モデル)の定格冷房COP値(以下、定格COP値)は、「3.61」となっていた。これは、当時、ダイキン工業の競合製品と並ぶ業界トップ水準の数字だ。
COP値の高さは省エネ性能の高さを示しており、顧客に対するセールスポイントとなる。そのため、三菱電機は省エネ設計に力を入れてきた。その1つの成果に、「扁平(へんぺい)管熱交換器」がある。熱交換器の銅製円配管をアルミニウム合金製の扁平管に変えて熱交換効率を高めたもので、「従来比で約30%の(熱交換)効率アップ」(同社)という。21年11月11日に開催した空調冷熱システム事業の戦略説明会でも、同社自慢の省エネ技術として触れていた*1。