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 カシオ計算機は鍵盤楽器(キーボード)の開発設計段階で、グリッサンド奏法のシミュレーションを実施したと明らかにした。グリッサンド奏法は、キーボードの鍵(けん)(キー)を1つずつ弾くのではなく、複数の鍵を横向きになでて音高を流れるように上げ下げする奏法。シミュレーションによる成果は、2019年8月発売の「Casiotone CT-S200」に続き、21年4月発売の新機種「Casiotone CT-S1」にも採用した(図1)。

図1 カシオ計算機のキーボードの新機種「Casiotone CT-S1」
図1 カシオ計算機のキーボードの新機種「Casiotone CT-S1」
2021年4月発売。61鍵。(出所:カシオ計算機)
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グリスが不可欠だった既存キーボード

 既存機種の鍵盤には、鍵が横方向にぶれないようにするガイド形状を本体フレームに造り込んである。鍵は中空のシェル構造で、底がない箱のような形状(図2*1。鍵の手前端の付近には下方からガイドの突起が出ており、箱状の鍵の中空部に入り込んでいる。演奏時にしばしば、このガイドに鍵が接触するため、その改善が課題になっていた。

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図2 従来機種の鍵(カットモデル)
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図2 従来機種の鍵(カットモデル)
魚の目刺し(メザシ)のように、棒状の保持部に対し直角に複数の鍵がつながっている(a)。鍵の根元(ヒンジ部)の弾性変形で鍵の上下動を実現。鍵はオクターブ単位で分かれており、1オクターブ分は白鍵を2グループ、黒鍵を1グループとした3部品から成る。鍵の裏には、ほぼ内寸いっぱいのガイドを設け、グリスを塗って引っ掛からないようにしていた(b)。(出所:日経ものづくり)
*1 白鍵は1オクターブをド(C)・ミ(E)・ソ(G)・シ(B)とレ(D)・ファ(F)・ラ(A)のように、互い違いになる2つのグループに分け、2個の部品として成形している。