東レグループが、再び品質不正問題を抱えた。米国の安全規格であるUL規格*に関する不正が発覚。同規格に適合していない樹脂製品を、東レが「10年以上」(同社)にわたって顧客に販売していたことが分かった。東洋紡と京セラ、三菱電機と広がったUL規格不正がさらに拡大したことになる。
米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(UL)が策定する製品の安全規格。
東レグループでは、2017年に子会社である東レハイブリッドコード(愛知県西尾市)で補強材の検査データの改ざんが見つかっている。ただし、「性能上に問題はなかった」(東レ)。これに対し、今回の東レの場合は性能不足を含む樹脂まで販売していた。
同社のUL規格の不適合品(以下、不適合材料)は、[1]汎用プラスチック、[2]汎用エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、[3]スーパーエンプラ、[4]バイオプラスチックの4分類に及ぶ(表)。同社の製品名で言えば以下の6つがある。「トヨラック」(ABS)、「アミラン」(PA)、「トレコン」(PBT)、「トレリナ」(PPS)、「シベラス」(LCP)、「エコディア」(PLA)だ(図1、2)。同社の製品ブランドの多くに不適合材料が含まれていることになる。
東レによれば、同社が販売する樹脂の全品種(グレード)は約1600ある。このうちUL認証を受けたのは410品種で、その中の約27%に当たる110品種が不適合材料であると判明した。難燃性のグレードを評価する規格である「UL94」に適合していない。