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『MONODZUKURIという「底力」を未来へ。』をスローガンに、自動化と計測の技術・情報展示会「IIFES 2022」(2022年1月26~28日)が東京ビッグサイトで開催された*1。ロボットや計測・搬送技術など製造現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する注目の展示を紹介する。

*1 東京ビッグサイトでの「リアル展」に加えて、2022年1月26日~2月25日に「オンライン展」も開催された。

日立製作所
複数ロボットが連携するライン
構築は仮想空間で検討も

 日立製作所は、同社グループが提供する機器やロボット、ソリューションを活用した自動化ラインをデモンストレーションした。2種類のボトルに液体を充てんして倉庫へ搬送する。併せて、仮想空間での生産ライン(以下、ライン)設計や生産計画の変更なども披露した。

 デモラインでは、最初に部材供給のエリアでロボットが空のボトルをピッキングして、組み立てエリアに投入する(図1)。空のボトルが入った箱の中には、大きさが異なる複数のボトルがばら積みされており、それらを、Kyoto Robotics(滋賀県草津市)の3Dビジョンセンサーで認識。ピッキングする際のロボットの制御や、大きさに応じた移動先の選択などに活用する。

図1 ばら積みされたボトルをピッキングする様子
図1 ばら積みされたボトルをピッキングする様子
3Dビジョンセンサーでばら積みされたボトルの大きさや向きを認識し、ロボットを制御する。(出所:日経ものづくり)
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 組み立てでは、ボトルに加えてキャップをラインに投入し、液の充てんからキャップ締め、計量、印字までを行う。これら一連の工程は、日立が19年に買収した米JR Automation Technologies(JRオートメーション)のプラットフォーム「Rotary Indexer Platform」を使った。小型製品向けに標準化されており、モジュールを組み合わせて省スペースでラインを構築できるものだ。

 組み立てが完了した製品は多関節ロボットでパレット上に並べる。このパレットを運ぶのが、日立インダストリアルプロダクツ(東京・千代田)の小型無人搬送ロボット「Racrew」だ。床の2次元バーコードを追跡する仕組みで、搬送経路の変更が容易である。

 デモでは、ラインを構成する機器だけでなく、ライン構築や運用開始後の特徴についても紹介した。ライン構築に関しては、仮想空間上でのラインのレイアウト検討や詳細設計、制御アルゴリズムのシミュレーション検証などを実施。立ち上げ期間の短縮と早期安定化が可能になるという(図2*2。(中山 力)

図2 仮想空間上でのライン構築
図2 仮想空間上でのライン構築
事前検討できる範囲が広がり、立ち上げ期間の短縮と早期安定化が可能になるとしている。(出所:日経ものづくり)
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*2 この他、日立の製造管理システム「FactRiSM(ファクトリズム)」による生産計画の変更もデモ展示していた。ファクトリズムは、加工組立系製造に特化したシステムで、稼働状態のリアルタイム把握や生産スケジュール再作成機能などを持つ。会場では、ラインを止めずに追加オーダーを指図する場面を紹介した。